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不動産投資は「自分年金」になるのか? 〜ハッピーリタイア目指すためには〜

不動産投資は「自分年金」になるってホント?

「不動産投資は年金の代わりに最適です!」

 

投資用マンションデベロッパーの広告でよくみる宣伝文句です。

 

理屈としてはこういうことでしょう。
@35歳から始めたらローンは65歳で終わる
Aこれ以降は家賃は丸々儲けになる
B退職後の収入として見込める

 

定番中の定番の売り文句ですが、さてそんなにうまく行くのでしょうか?

 

今回は「自分年金」としての不動産投資を検証します。


実際のところ老後資金ってどうなの?

そもそも、なぜ人は「年金代わり」という言葉に惹かれるのでしょうか。

 

そこには公的年金への不信感、そして自分自身の老後資金への不安が見え隠れします。

 

「下流老人」という言葉もあるように、度々メディアを賑わせる老後資金問題。報道だけを見聞きして闇雲に不安に駆られる方も多いようです。

 

なぜ現代社会に於いてここまで老後資金がクローズアップされるのか。まずはその点を考えてみましょう。

 

一説には「老後資金には3000万円が必要」と言われています。

 

もちろん統計上の平均値ですので、全ての方にこの数字が当てはまるわけではありません。ただこの3000万円という数字の根拠を紐解くことで、老後資金の考え方が見えてきそうです。

 

老後の支出はどのくらい?

少し想像してみてください。

 

自分が退職した後にどのくらいの生活費がかかりそうでしょうか?

 

金融広報中央委員会が行った「家計の金融行動に関する世論調査(平成26年)」によりますと、「夫婦二人の老後ひと月当たり最低予想生活費」は約26万円となっています。これは毎月の基本的な生活費の他、年間単位で発生する旅行や冠婚葬祭などの支出も含んだ数字と考えてください。

 

面談時にこのお話をすると多くの方から「結構かかるんですね!」という反応をいただきます。当然、住宅の状況などによってもこの数字は大きく変わってきますが、「自分はそんなに使わない」と感じる方は少なくありません。

 

しかし私は、月額26万円は調査の通り「最低」の生活費だと考えています。

 

確かに若い頃に比べて派手な遊びをすることは少なくなるかもしれません。しかし、その分圧倒的な「お金を使う時間」を手に入れます。会社勤めの方であれば、仕事をしている日とお休みの日でお金の使い方が全く違うことを実感できると思います。

 

そんなお休みの日が毎日続いたらお金はどう使われていくでしょうか?

 

結果として支出は現役時代と変わらない、人によっては現役時代より増えるという方がいてもおかしくありません

 

窮屈な老後生活にならないようにするためには、ご夫婦での老後の生活費を月額30万円程度はみておいたほうが良いでしょう。年間では360万円となります。

 

老後の収入はどのくらい?

一方、入ってくるお金はどうでしょうか。

 

老後の収入として真っ先に思い浮かぶのが公的年金です。

 

公的年金もその人がこれまでどのように働いてきたかによって大きく変わります。ずっと自営業であったのならば基礎年金しかもらえませんし、極端な話、年金の受給資格がなければ一銭ももらうことはできません。

 

ここではモデルケースとしてご夫婦で年間240万円をもらう例を考えてみます。イメージとしては夫はずっと厚生年金、妻は育児のため専業主婦の期間もありますがそれ以外は厚生年金に加入していたようなケースです。

 

そうなると年間で切り崩す貯金の額は「360万円-240万円=120万円」。そして、年金をもらう65歳から女性の平均寿命の86歳までが21年となります。

 

実際には60歳以降は働いたとしてもそれまでの半分程度しか給与がでないことも多いですから、実質25年程度を見込むとすると「120万円×25年=3000万円」。

 

これが「老後資金は3000万円が必要」の正体です。

「老後資金問題」は一種の現代病?

余談ですが、老後資金はなにもここ最近になって起こった問題ではありません。

 

老後資金自体は、昔から今と変わらず同じようにかかってきました。退職はどなたにでも訪れるものですから、当たり前のお話です。

 

なぜ、昨今ここまで老後資金が問題としてクローズアップされるのか?

 

要因はいくつかありますが、その中でも大きなものは「退職金制度の変容」「公的年金の減少」の2点だと思います。

 

例えば団塊の世代であればほとんどの企業に退職金制度があり、従業員も終身雇用が原則でした。

 

本人の意思に関係なく勝手に「退職金」という名の老後資金は形成され、公的年金も現在よりもらえる金額が多かったので、ほとんどの方が特別な「老後資金対策」をしなくてもなんとかなっていたのです。

 

しかし、現在は違います。

 

退職金制度がない企業も珍しくなく、公的年金も先行き不透明です。ハッピーリタイアを迎えたいのであれば、会社や国に頼るのではなく自分の手でなんとかするしかありません。

 

その意味で、「自分年金」の必要性が高まっているのは確かなことと言えそうです。


老後資金で不動産投資を始めたら?

では、その「自分年金」に不動産投資はなり得るのでしょうか?

 

これは「Yes」でもあれば「No」でもあります。

 

当たり前のことですが全てはやり方次第。ただ、投資用マンションデベロッパーが謳うほど簡単なものではないことだけは確かでしょう。特に3000万円の貯蓄に匹敵できるような収入を不動産投資だけで得ようとするのであればそれなりの工夫が必要です。

 

例えば、上記の計算に従えば、毎月10万円のキャッシュフローがあれば不動産投資で老後資金をまかなえることになります。

 

これは「毎月の家賃収入が10万円」という意味では決してありません。

 

家賃から引かれる経費もあれば不動産所得には税金もかかります。そもそも空室のことも考えておかなければなりませんから、年間の家賃収入見込みとしては1.5倍の180万程度を見込んでおく必要があるでしょう。

 

利回りを6%と仮定すると、購入すべき物件価格は3000万程度となります。

 

少し乱暴な例かも知れませんが、コツコツと貯めてきた老後資金3000万円を使って収益物件を購入するというやり方も、こうして数字上で考えれば選択肢の一つになり得るわけです。現金が収益不動産に姿を変え、毎月の生活費を捻出してくれるという理屈です。

 

しかし実際にはそんなことをする人はいません。既に3000万円あればわざわざリスクをおかす必要がないからです。

 

では借り入れを使った場合はどうなるのか?

 

これは返済金の負担がありますから、十分な老後資金を生み出すのは至難の技と言えるでしょう。

 

借り入れの比率を増やせばレバレッジ効果を期待できますが、その分リスクも高くなります。金融機関も融資先が退職者の場合はいい顔をせず、金利を上乗せしてくる可能性もあります。

 

やはり「老後資金」という使途がはっきりしているお金をリスクにさらすのは、どうしても慎重にならざるを得ません。

どんな不動産投資が「自分年金」になり得るのか

そう考えると、リタイアするような年齢になってから慌てて不動産投資を始めてもあまり良いことはなさそうです。

 

前もって準備をしておく、理想を言えば「老後生活に入る前にローンが終わっている形」がベストと考えるべきでしょう。

 

そのためにはどんな不動産投資を行っておけばよいのか? 3つのパターンで考えてみたいと思います。

 

@新築ワンルームマンション

本当にデベロッパーの言う通り新築ワンルームマンション投資は「自分年金」になるのでしょうか。

 

そのためには二つの条件が必須となります。

 

まずは「老後までにローンを無事に払い終えること」。そして「ローンを払い終えた後に資産価値が残っていること」

 

前者に関してはもちろん物件によるところが大きいでしょう。

 

ただ、一般的に考えるのであればその条件を満たす新築物件は極めて稀だと考えられます。家賃収入だけではアパートローンを払いきれず、自己資金を注入してなんとかローン返済を終えるケースまで「あり」とするのであれば、少し数も増えるかもしれません。

 

しかしながら新築ワンルームマンション投資の本当の問題は、苦労してローンを払い終えた物件に資産価値が残っていない可能性が高いということです。

 

買った時は新築でもローンを払い終えた段階では立派な中古マンション。マンションの資産性を維持するためには建物管理が生命線となりますが、一棟全部が収益用の、言い換えれば所有者が誰も住んでいないマンションの管理を誰が責任を持って行うのでしょうか。

 

ローン返済は自己資金を持ち出し、その上ローンを払い終わったら建物はボロボロでは、到底「自分年金」にはなりそうにありません。

 

A中古マンション

それでは中古マンションの場合はどうでしょうか。

 

中古マンションの場合、ローンを払い終えたタイミングでは新築よりも更に古い建物ということになります。管理が行き届いた建物だとしても古さがデメリットになる可能性は十分にあります。

 

一方で中古マンションには新築にはない「価格の安さ」という大きなメリットがあります。これは「利回りの良さ」と言い換えても良いでしょう。

 

そうなると、この利回りの良さを利用して規模を拡大していくという戦略をとることができます。つまり「一定の期間で中古マンションを買い足していく」という考え方です。

 

中古マンションを一戸購入しただけでは新築マンションの場合とそれほど大きな違いはないでしょう。

 

買い足していくことによって手駒の中に新旧のマンションを取り入れていき、結果として老朽化の分散を図ることができます。更には複数戸を持つことで空室リスクを分散できるという大きなメリットもあります。

 

これは新築ワンルームマンションにはないアドバンテージです。

 

B一棟アパート

最後は一棟のアパートを購入したケースです。

 

この場合も建物の老朽化は免れません。ローンを払い終える頃には建物はそれなりの経年劣化は避けられないでしょう。

 

ただし、このケースですと建物がダメになったとしても土地は残ります。土地はよほどの事情がない限り経年劣化することはありません。

 

ということは、建物がダメになってしまっても手に入れた土地の上に新たなアパートを建てることが可能になります。

 

アパートを立て直す資金を借り入れたとしても、土地の分の返済はありませんから利回りは劇的に改善します。土地を担保に入れられる分、金融機関の反応も良いはずです。

 

もちろん規模等の諸条件によりますが、毎月10万円のキャッシュフローを手にすることはそれほど難しいことではないでしょう。

 

ある意味では、ローンを払い終えるまでを「他人の力(=家賃収入)で土地を手に入れるための期間」と割り切ることで、次のステップにつなげることができるのが一棟アパートの大きな特徴です。

 

さあ、あなたにあった方法はどれでしょうか?


老後資金は「早めの準備」が肝心!

ファイナンシャルプランナーとしてご相談を受けると、度々老後資金に話が及びます。

 

老後資金にとってなにより大事なのはやはり「早めの準備」。これは、なにも不動産投資に限ったことではありません。

 

短期間で巨額の老後資金を用意するのはなかなか簡単なことではありません。準備期間が短くなればなるほど難易度は上がると言えるでしょう。

 

ただ、一口に「早めの準備」と言っても、その人の状況によりアプローチの方法は様々です。

 

不動産投資もその選択肢の一つになりますが、始めから視野を狭めず自分にとってどんな方法が一番合っているのかは良く考える必要がありそうです。


(2016/03/30 文責:佐野純一)

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