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「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」 〜目的に合わせた使い分け方法〜

資産の増やし方には2種類ある

ファイナンシャルプランナー(FP)として「資産運用」のご相談は定番中の定番です。

 

そんな時、私は相談に来られた方にこんな質問をすることがあります。

 

「なぜ資産運用をしようと思ったのですか?」

 

さて、こう聞かれたら、あなたはどう答えるでしょうか? 当然、ほとんどの方が「今もっている資産を増やすため」とお答えになると思います。

 

その答はとても自然なものです。資産運用の“正しい目的”と言っても良いでしょう。

 

ただ、そう答える人でもその肝心の「資産の増やし方」に、実は2種類あることをご存知の方はあまりいらっしゃいません。

 

「資産の増やし方」の2種類とは、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」

 

共に資産を増やす(=ゲイン)方法ではありますが、考え方には大きな違いがあります。両者の違いをよく知ってうまく使い分けることで、資産運用の成功率をぐっと上げることができるのです

 

自ら賃貸経営を行う「“お金の相談”の専門家」ファイナンシャルプランナー(FP)が、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の違いと、不動産投資における両者の使い方を解説します。


「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の違いとは?

「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」。

 

まずは両者の意味を確認してみましょう。

 

インカムゲインとは?

「インカムゲイン」とは、簡単に言えば「その資産を持っていることで生じる収入」のことを指します。

 

例えば、株や投資信託であれば「分配金」、不動産投資であれば「家賃」がそれにあたります。あまりに少額なので意識してませんが、普通預金の「金利」もこの仲間ですし、広く考えれば「株主優待」などを含んでもいいでしょう。

 

こう書くとなにやら決まった金額が懐に入っているような印象を持つかもしれません。しかしインカムゲインは、持っている金融資産の状況によって「収益の大きさ」は変わってきます。企業の業績が悪ければ株の分配金が出ないこともありますし、収益物件も入居者がいなければ家賃は入ってきません。つまりインカムゲインが「ゼロ」ということもあり得るのです。

 

その意味では、むしろ「保有している資産の時価が変わらなくても発生する可能性がある収入」と考えた方が、インカムゲインを理解しやすいかもしれません。

 

キャピタルゲインとは?

一方「キャピタルゲイン」とは、ズバリ「売却益」のことです。どんな形であれ、資産を購入時の価格より高く売ることができれば、そこに「キャピタルゲイン」が発生します

 

株や投資信託、不動産など、「売り買いができるものであれば得られる可能性がある収益」と言い換えても良いでしょう。

 

数ある金融商品の中でも特徴的なのが、“有事の際の資産”として根強い人気がある「金」です。

 

金はいくら長い期間保有していても利息などの「インカムゲイン」は発生しません。ですから、売るタイミングで収益を狙う「キャピタルゲイン」のみの金融商品と言うことができます。平たく言えば、買った時よりも金の価格が上がらないのであれば資産運用としての役には立たないわけです。

 

逆に、先ほど例に出た普通預金はそもそも売買することができませんので、こちらは「インカムゲイン」のみの金融商品と考えられます。

 

注意したいのが、「キャピタルゲイン(売却益)」がある以上、「キャピタルロス(売却損)」も存在するという点です。「キャピタルゲイン」と「キャピタルロス」は、言わば表裏一体。資産運用を行うのであれば、「リスク(不確定要素)」としてこの関係性を認識する必要があります。

 

余談ですが、「インカムロス」という考え方はあまり一般的ではありません。強いて言えば、不動産投資において家賃収入より経費が上回るようなケースが考えられますが、その状態ではそもそも運用になっていないわけですから早めに撤退を考えたほうが良さそうです。

資産運用は両方の面から考えよう

このように「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」は性質が異なりますので、資産運用を行う際には両方の面からじっくり考える必要があります

 

株や投資信託などの証券運用のご相談を受けると、「分配金」つまり「インカムゲイン」に強いこだわりを持つお客様にお会いすることがあります。毎月、あるいは数ヶ月に一回振り込まれてくる分配金は、「目に見える」という点では収益として実感しやすいかもしれません。

 

ただ分配金が出ない証券でも、それ以上の「キャピタルゲイン」が見込めるのであれば、選択肢として持っておく必要はあるでしょう。例えば、毎月100円の分配金が出る投資信託と、一年間で5000円値上がりする投資信託があったとすれば、どちらが運用商品として良いものなのかは議論の余地がありません。

 

さらに言えば、インカムゲインにこだわりすぎると「複利効果」が働かなくなる可能性があります

 

「複利効果」とは運用益を再投資することで運用効率を高めることを言います。分配金の例で言えば、毎月分配金を引出して使ってしまうよりも、その分配金を再投資して運用する資金を増やしていったほうが、最終的には資産をより大きく増やすことができるのです。

 

「目に見える収益」という点で分配金に惹かれる心理も分かりますが、特に分配金を使う必要ががないのであれば、複利効果を得るために敢えて分配金がない商品を選んでみるのも一つの手段でしょう。


不動産投資の場合はどうなるか?

さて、私の専門である不動産投資の場合は、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」をそれぞれどう考えれば良いのでしょうか。

 

先ほども触れたように、賃貸経営の場合は「インカムゲイン=家賃収入」「キャピタルゲイン=物件の売却益」と考えれば分かりやすいでしょう。

 

どちらも不動産投資に重要な要素ですが、特に現在の日本において比重が増しているのが「インカムゲイン=家賃収入」です。逆に言えばそれは、日本では「キャピタルゲイン=売却益」を出すのがなかなか難しい状況になっていることを意味しています。

 

世に出ている不動産投資関係の本を読むと「安く買って、高く売った」といったある種の目利き自慢が散見されます。

 

しかしながら、一般的に考えれば「キャピタルゲイン=売却益」を得るために必要なのは、そうした「個人の目利き」よりもその地域の「社会的背景」です。極端な例かもしれませんが、バブルの絶頂期に向かう過程では日本国民のほとんどが目利きだったわけですから(笑)。

 

そう考えると、時代背景も地域も違うのに不動産投資本に書いてあることを再現しようとしても、それは無理のある話です。特ににこれから人口減少社会を迎える日本においては、「キャピタルゲイン=売却益」を目論むよりも「キャピタルロス=売却損」の心配をするほうがよほど現実的でしょう


不動産投資において「キャピタルロス」は致命傷になり得る!

この「キャピタルロス=売却損」は不動産投資失敗の大きな要素の一つです。

 

土地はともかく建物は建ったその瞬間から老朽化が宿命づけられているわけですから、物件の価値は年月とともに下落していくと考えるのが自然です。建物を所有している以上、「キャピタルロス=売却損」が生じるのは覚悟しなければなりません。

 

不動産市場全体の値上がりが期待できない状況では、その「キャピタルロス=売却損」をどれだけ「インカムゲイン=家賃収入」でカバーできるか、言い方を変えれば賃貸経営を通じてキャピタルロスを上回るインカムゲインを上げられるかどうかが不動産投資成否の分かれ目となるでしょう。

 

その意味で、不動産投資は始める時から出口戦略を考えることがとても重要です。どのくらいの期間で不動産投資を考えるかによって、得られる家賃収入も予想される売却損も変わってくるからです。

 

自分が“なんのために”不動産投資をするのか?

 

自分の“不動産投資のゴール”はどこにあるのか?

 

始める時からその点が明確になっていれば、自ずと自分に合ったアプローチ方法や収益物件の選び方が見えてくるはずです。


(2016/04/12 文責:佐野純一)

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