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良い収益物件の見分け方とは? 〜出口戦略から逆算する物件選び〜

良い収益物件を見つけるためには?

「良い収益物件ってどうやって見分けるんですか?」

 

不動産投資コンサルも佳境に入ってくると、こんな質問が飛び出してきます。

 

もちろん「良い収益物件」は不動産投資家全員の最大の関心事。その質問が出るのは当然のことでしょう。

 

ただし、この「良い」という言葉には様々な意味が込められています

 

物件を売買する不動産業者ではなく、FPの視点で見た「良い物件」とはどんなものか?

 

あなたも一緒に考えてみましょう。


利回りだけに気を取られるな!

「あなたにとって良い収益物件とはどんな物件でしょうか?」

 

そう聞かれたらあなたはどう答えるでしょうか?

 

物件のあるエリアや駅からの距離も大事ですが、多くの方がこう答えると思います。

 

「それは利回りです」と。

 

世界中どこを探しても同じものが二つ存在しない。それが不動産という商品の大きな特徴です。言い方を変えれば、それだけ適正価格を決めるのが難しい商品でもあります。

 

そんな中で年間家賃を購入価格で割って求める「表面利回り」は、価格を求める上で大きな指標となります。当然利回りが高ければ高いほど儲かる訳ですから、それをもって良い物件と判断したくなる気持ちも分からなくはありません。

 

しかし、誤解を恐れずに言うのであれば、利回りでその収益物件の良し悪しを決めてしまうのはとても危険です。

 

なぜなら、利回りはあくまでも「点」であり、不動産投資の本質は長い長い「線」だからです。


「点」ではなく「線」で考えよう

「賃貸経営はマラソンのようなもの」

 

お客様に私が口癖のように申し上げるセリフです。

 

例えば30年のアパートローンを組むのであれば、少なくとも30年間は返済が滞りなく進むようにしなければなりません。

 

ただ黙っていれば勝手に返済が進んでいくような物件は今の日本には存在しません。目先のことだけでなく、常に二手三手先を考えなければ賃貸経営という長いマラソンを完走することなどできないのです。

 

利回りとは、単純に「現時点での家賃」を「現時点の購入金額」で割っただけの数字です。

 

あくまでも“今”という点を示す数字であり、短距離競争の指標としては大きな意味を持ちますが、そのペースでマラソンを走れるかと言えば、それは全くの別問題です。

 

マラソンにはマラソン用の長期的な戦略が必要となってきます。

 

この「長期的な戦略」は人によって大きく異なります。

 

その人の年齢や家族構成、現在の資産状況や今後のキャッシュフロー、そしてリスク許容度によって、その人なりのプランを描く必要があるでしょう。

 

そこに万人向けの「正解」はなく、「あなたにとって何が正しいか」を考えなくてはなりません。

建物の構造と築年数に注目!

そうした長いスパンで不動産投資を考える時、利回りよりも注目していただきたいのは、建物の構造と築年数です。

 

具体的な例で考えてみましょう。

 

一般的には、建物が古いと利回りは良くなる傾向にあります。

 

例えば、築30年の古い木造アパートを購入したらどうなるでしょう。建物自体は老朽化しているので相応の価格に抑えられるはずです。一方で家賃は建物価格ほどは金額が下がりませんから、相対的に利回りの良い収益物件が生まれやすくなります。

 

しかしながら、このアパートを30年間のアパートローンを組んで購入したとなると話は変わってきます。

 

もちろん古い木造アパートで30年ローンが組めるかどうかという問題もありますが、仮に組めたとしてもそのまま建物が30年間保つかどうかは大いに疑問です。

 

どこかの時点で大規模な修繕、あるいは建て直しの必要が生じてくるのは間違いありません。そこで大きなコストがかかってしまうようでは、当初数年間の利回りがいくらよくても収支は大幅に悪化してしまうでしょう。

 

30年の間建て直しをしないという「長期的戦略」を練ったのであれば、いくら利回りが良かったとしても30年間保たない物件を選んではいけないのです。

 

一方、RC造(鉄筋コンクリート造)の建物であれば、建築費が高くなりますので利回りは低くなる傾向にあります。

 

計画によってはアパートローンを返すのがやっとというような利回りも考えられます。それでは投資としての魅力がないと思う方もいらっしゃるでしょう。

 

ただし、こんなケースも不動産投資を使った「資産形成」と割り切ってしまえば見方が大きく変わってきます。

 

RC造の建物はしかるべき管理さえしっかりすれば長く保ちますので、例えば親の代で儲けはなくてもローンを返してしまい、子供に資産として遺すなどという考え方も可能になってきます。

 

子供に遺すための資産を形成するのが目的ですので、利回りは低くてもOKというわけです。

 


税金にも大きく影響する

また、建物の構造は税金にも大きな影響を与えます。減価償却費を計算する耐用年数が異なるからです。

 

新築であれば、木造アパートの耐用年数は22年、RC造(鉄筋コンクリート造)のマンションであれば47年となります。

 

仮に両者の金額が同じだとすれば、木造の方が一年間で計上できる減価償却費はRC造の倍以上。当然それだけ高い節税効果が見込めます。

 

一方で、木造アパートはRC造に比べ早々と減価償却費を使い切ってしまいます。

 

減価償却費を使い切ってしまうと計上できる経費が減ってしまうため、税負担が重くなります。状況によってキャッシュフローがマイナスになることもあり得るでしょう。

 

そうなった時の次の一手を予め考えておくことはとても重要です。その出口戦略によっては、一年あたりの減価償却費は少ないとしても長い期間経費に計上できるRC造の方が有効かもしれません。


あなたにとって「良い物件」とは?

そう考えていけば、万人にとっての「良い収益物件」など存在しないことが分かります。

 

私が不動産投資コンサルを行う時には、実際の物件を検討する前に長い時間をかけて「その方にとって良い収益物件とはなにか」を検討することにしています。

 

その方の年齢や資産状況、あるいは今後のキャッシュフローによって、そしてなにより不動産投資のゴールをどこに設定するかによって、「良い収益物件」は大きく変わってきてしまうからです。

 

自宅の場合も同じことが言えますが、不動産物件を見て回るというのはそれなりの重労働です。時間的体力的コストはかなりのものになります。

 

だからこそ、無闇に物件を探し始める前にきちんと方針を考えることで無用な消耗を避けることができます。

 

不動産投資に興味を持った方がすぐに物件を探したくなる気持ちもよく分かりますが、「急がば回れ」の言葉があるように、まずは長期的な視点で大きな枠組みを考えてみましょう。

 

後から振り返ってみれば、結局はその作業が成功の第一歩となるのです。

(2016/08/24 文責:佐野純一)

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