「アパートローン」は不動産投資成否のポイント!

不動産投資を考える人にとって、金融機関からの借入である「アパートローン」はなくてはならない存在です。

 

投資としての賃貸経営の効率を上げるために有効な「レバレッジ効果」も、アパートローンをうまく活用できてこそ得られるもの。その意味では、「アパートローンを味方にできるかどうか」が不動産投資の成否を分けるポイントと言っても過言ではありません。

 

ところが、実際に不動産投資を検討している人の中でも、アパートローンのことをよくご存知ない方は意外と多いものです。

 

中には長い期間をかけてようやく良い物件に巡り会えたのに、結局アパートローンが借りられなくて不動産投資そのものが“絵に描いた餅”に終わってしまったというような例もあります。それではせっかくの努力も報われません。

 

そこで今回は、自ら賃貸経営を行う「“お金の相談”の専門家」ファイナンシャルプランナー(FP)が、不動産投資を始める前にまずは知っておくべき「アパートローンの基本」を解説します。


ローンは“三つの要素”で決まる

まずはローンの構造から理解しましょう。

 

アパートローンに限らず、すべてのローンは以下の“三つの要素”で成り立っています。

 

・借入金額
・借入金利
・借入期間

 

言い方を変えれば、「どのくらいの金額」「どのくらいの金利」「どのくらいの期間」借りるかがはっきりすれば、ローンの形は自ずと決まってくるということになります。

 

実際にアパートローンを借りる時には、それぞれの要素をどう考えれば良いのでしょうか。一つずつ見ていくことにしましょう。


まずは「いくら借りるか」

まず最初は「借入金額」です。

 

アパートローンにおいて「借入金額」は、購入する物件の価格、そして物件価格のうちどのくらいの自己資金を出すかによって変わってきます。

 

自分の家を買う時の住宅ローンであれば、「いくら借りられるか」を決めるのは主に自分の収入です。毎月のローン返済額が自分の収入の一定割合内に収まれば、希望の金額を借りることができます。

 

アパートローンの場合も本人の収入や勤務先(一般的に「属性」と呼ばれます)は審査対象になりますが、それと同じように重要視されるのが購入しようとしている物件の“質”です。

 

特に物件の規模が大きいケースでは、その物件が「今後長期的に安定した家賃収入が得られるかどうか」が融資審査の上で大切なポイントとなります。借入額が大きくなると、いくら収入の高いサラリーマンであっても、賃貸経営がうまくいかなかった時に自分の給与からローン返済の不足分をカバーするのが難しくなるからです。

 

また、自宅などの他の資産を金融機関に対し共同担保として提供することで、借入金額の枠を広げることも可能です。ただし、「担保に提供する」ということは「その資産の流動性を大きく損なうこと」になりますので、その是非については将来を踏まえた慎重な検討が必要となります。


次は「金利はどのくらいか」

次が「借入金利」です。

 

「金利が何%か」は不動産投資家の間でも関心の高い事柄で、情報サイトでも「どこどこの金融機関の金利が安い」などという書き込みを見かけることがあります。

 

確かに、借りる人や対処物件が同じでも銀行によって金利の考え方は変わってきます。変動金利が得意なところや、逆にある程度の期間での固定金利で強みを発揮する銀行もあります。

 

ただし、この金利も借りる人の“属性”と担保となる物件の“質”で変わってくるのは「借入額」と同じです。そこには「金利=保証料」という金融機関の基本的なスタンスが垣間見えます。

 

例えば、5,000万円の現金を持つ人がアパートを購入するために5,000万円を借りるようなケースでは、どこの金融機関でも金利は低く設定されます。万が一賃貸経営がうまくいかなくても、アパートローンを取りっぱぐれる可能性が低いからです。

 

さらに言えば、銀行にとって危険性が低い融資では金融機関同士の競合が発生しやすく、そのことがより借入金利を低下させることもあります。

 

反対に、金融機関が「この融資は危ないな…」と考えている時は、アパートローンの金利は高くなります。貸付を行う銀行も限られてきますので、金利引き下げ交渉も難航することが予想されます。

 

「保証料」という意味では、生命保険の保険料とも相通じるところがあるかもしれません。死亡保障などの保険料が、被保険者の年齢とともに高くなっていくのは皆さんもご存知の通りですが、これは「年齢が上がっていくごとに統計上の死亡確率が高くなっていく」という考え方に基づいています。

 

いずれにしろ、借入金利が賃貸経営の収支計画に及ぼす影響は少なくありません。既に触れたように、金融機関によって金利に対するスタンスは異なりますので、いくつかの銀行を比較検討する必要があるでしょう。


最後に「いつまで借りるか」

最後は「借入期間」です。

 

前述の「借入金額」や「借入金利」に比べると皆さんの関心が薄い「借入期間」ですが、実は不動産投資の収支計画に一番大きく影響を与えるのがこの「借入期間」です

 

当たり前の話ですが、アパートローンを組む時には借入期間を長くすればするほど毎月の返済額は少なくなります

 

例えば、5,000万円を金利2%で借りた場合、返済期間が20年では毎月25万円程度の返済になりますが、返済期間が30年になれば返済額も18万円程度まで減らすことができます。

 

5,000万円の物件の表面利回りが6%だとすれば毎月の家賃収入は25万円ですから、賃貸経営を行う上でどちらのローンがより安全かは誰の目にも明らかです。

 

賃貸経営とは、「家賃収入」という安定的な収益を長期間に渡って稼ぎ出すことができる点に、その最大の強みがあります。ローン返済を長期間に渡って少しずつ行うということは、そのストロングポイントを有効に生かす効果的な方法と言えるでしょう。

 

自宅の住宅ローンの場合は、ほとんどの人が「なるべく早く返したい」と考えているものです。

 

その気持ちはよくわかりますし、決して間違った考え方ではありませんが、不動産投資における「アパートローン」も同じように捉えてしまうのは少々危険です。借入期間を短く設定することで不動産投資特有の「レバレッジ効果」が薄れてしまう可能性があるからです。


アパートローンの「借入期間」はこうやって計算する

それでは、アパートローンの借入期間はどのように決定されるのでしょうか。

 

住宅ローンが借りる人の年齢で期間が決まるのはよく知られているところですが、アパートローンの場合は借りる人ではなく、対象となる“建物の年齢”で決まってきます。この場合の“建物の年齢”とはつまり、その建物の「耐用年数」のことを指します。

 

「耐用年数」とは税法上の考え方で、簡単に言えば「その建物は何年間使用できるのか」を決めた数字のことです。

 

減価償却費を計算する元となる数字ですが、アパートローンでもこのルールが適用されます。大雑把な言い方になりますが、耐用年数とは「建物の寿命」と捉えるとイメージしやすいかもしれません。

 

耐用年数は建物の構造によって異なり、住居用のアパートやマンションでは以下の三種類に大別されます。

 

木造…22年
軽量鉄骨造…27年
RC(鉄筋コンクリート)造…47年

 

基本的には、それぞれの構造に準じた耐用年数がアパートローンの上限となります。木造なら22年間、軽量鉄骨なら27年間といった具合です。

 

もちろん、新築であれば木造でも30年のアパートローンを組めることもありますし、RC造でも現実的に35年程度までのローンが一般的です。ただ、「アパートローンの長さはその建物の耐用年数によって決められる」ということは覚えておくべきでしょう。

 

特にこのことが問題になってくるのは、中古物件を購入する時です。

 

新築物件であれば上記の耐用年数が基準となりますが、中古の場合は既に建てられてから年月が経過していますので、原則的に「耐用年数−築年数」が借入期間のスタート地点となります。これは、例えば築10年の木造アパートであれば、「22年−10年」で12年がローンの上限ということを意味しています。

 

どんなに利回りの良い物件であっても、12年間でアパートローンを返済していくのは簡単なことではありません。こうしたケースでは、借入金額を減らす(=自己資金を増やす)等の対策が必要となってくるでしょう。

 

ただし、「借入期間」も借りる人の“属性”と担保となる物件の“質”で伸ばすことは可能です。こうした金融機関との「借入期間をいかに伸ばすか」という交渉は、今後の収支計画を占う上で非常に重要な点となってきます。


アパートローン次第で「探すべき物件」も変わってくる

「アパートローンを借りることができるのか」と不安に感じている不動産投資家は多くいますが、「どんな条件で借りられるか」まで踏み込んで考えている人はあまり多くありません。

 

しかしながら、アパートローンの組み方は賃貸経営の命運を握る大事なポイントです。

 

当然「どんな物件を探せば良いのか」、言い方を変えれば「あなたにとって最良の物件はどんなものか」にも関わってくる問題ですので、具体的な物件探しと並行してアパートローンの知識を蓄えていくことが肝心です。

 

その点を怠ってしまうと、せっかく苦労して検討してきた不動産投資がただの“絵に描いた餅”となってしまいます。そうならないためにもアパートローンの基本的な考え方はしっかりと理解しておくようにしましょう。


(2018/07/11 文責:佐野純一)

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