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「サブリース契約」の本当にコワいところ 〜オーナーの自由が奪われ続けるワケ〜

本当はコワい「サブリース契約」

「投資用の新築ワンルームマンションを買ったけど失敗だった」
「不良債権になっているワンルームマンションをなんとかしたい」
「まだ収益用マンションが高く売れる内に売却してしまいたい」

 

最近、そんなご相談が増えてきています。

 

世の悪評を物ともせず、売り手である“不動産業者の理屈”で未だに売り続けている投資用ワンルームマンション。

 

残念ながら、最初の一歩で悪い物件を掴んでしまった場合は、そこからのリカバリーはかなり難しいのが現実。不動産投資はスタートで成否の90%が決まってしまう運用方法だからです。

 

それでも、そうした現実から目を背けず、自分が所有している物件をなんとか処理しようとする姿勢は非常に大切です。私も不動産投資コンサルタントとして、できるだけそういった方のお力になりたいと考えています。

 

しかしながら、このような投資用ワンルームマンションを処理する時に、大きな壁となって立ちはだかるのが不動産業者との間に結んでいる「サブリース契約」です。

 

マンションを購入する時は「大家さんの利益を守ります!」と業者に言われて契約したはずのサブリース。そのサブリースがなぜ“大家の敵”となってしまうのでしょうか。

 

今回のコラムでは、自ら賃貸経営を行う「“お金の相談”の専門家」ファイナンシャルプランナー(FP)が、“サブリース契約の本当にコワいところ”を解説します。


サブリースの仕組みをおさらい!

まずは、サブリースの仕組みについておさらいしておきましょう。

 

サブリースとは別名「家賃保証」とも言われ、「空室時でも大家に家賃収入がある」という点が一番の売りになっています。

 

実際の仕組みとしては、まず大家からサブリース業者が部屋を借り受け、今度はそのサブリース業者が入居者に貸し出します。この状態を「転貸」といいます。

 

仮に部屋の入居者が退去したとしても、大家とサブリース業者の賃貸借は継続していますから、大家としては家賃収入が途切れることはありません。これが「家賃保証」の意味です。

 

一方でサブリース業者も利益を出さなくてはいけませんから、大家からは手数料を徴収します。一般的には賃料の10%程度が相場となっています。

 

単純に考えると、「実際の空室率が10%を上回るのであれば、大家にとって有利な条件」という理屈になります。そのため投資用の物件を購入する際にセットでサブリース契約を結んでしまう大家さんも少なくありません。

 

ただし、この「サブリース契約」がいざマンションを売ろうとした時に大きな障害になることはあまり知られていません。最悪の場合、サブリース契約のために売却そのものが不可能となってしまうケースさえあるのです。


買い手がサブリースを嫌がるワケ

なぜ、売却の際にサブリース契約が障害になるのでしょうか。

 

その大きな理由は、「買い手側がサブリースを求めていない」ということです。

 

すでに説明したように、サブリース契約の場合は問答無用で10%程度の手数料が業者に徴収されてしまいます。このことはつまり、家賃収入が強制的に少なくなること、換言すれば、自動的に利回りが下がることを意味しています。

 

買い手が個人であれ業者であれ、少しでも利回りが良い状態で物件を購入したいのは当然でしょう。ですから、実際のやりとりを見ても買い手として「サブリースの解除」が条件となる場合がほとんどです。

 

また、不動産業者として現状のサブリースを解除した上で、自社のサブリース契約を前提とした商品として売り出そうとするケースもあります。

 

「じゃあ、サブリース契約を解除すればいいじゃない」

 

もしかしたら、そう思うかもしれません。しかし、それは実は簡単な話ではないのです。

 

まず、大抵の場合、サブリースの解除には「解約手数料」が必要になってきます。

 

手数料の規定は会社によってまちまちですが、多いのが「家賃6ヶ月分」というパターン。つまり家賃8万円の部屋であれば、サブリースを解除するのに48万円もの手数料がかかる計算になります。

 

所有しているマンションを売ろうとしているということは、その運用状況が芳しくないということですから、そこにきての高額な手数料は大きな痛手です。それだけでも売却に二の足を踏む大家さんは出てくるでしょう。

 

ただ、手数料を払ってでもサブリースを解除できるのであればまだ良いほうです。中にはサブリース契約を解除できずに、裁判沙汰になることもあるからです。


「借家法」の特徴を知ろう

あなたは「借家法」という法律をご存知でしょうか?

 

これは家を貸し借りする時のための法律なのですが、「住宅」という特異なものを扱うためか、他の物の貸し借りに比べるとある種の特殊性が見受けられます。

 

それは、借家法という法律が「借主(入居者)を守る」という前提で作られている点です。

 

普通のレンタル物であれば、それは「お金を出して物を借りる」というビジネスので、借主にも貸主にも有利不利はありません。

 

しかし、「住居」という生活の根幹となるものが対象となっていること。それに加え、部屋を借りる店子の方が部屋を貸す大家より「原則として“経済的弱者”である」という考え方が根幹にあることから、借家法は「借主の保護」を目的とした法律になっているのです。

 

そのため、借家法に関して借主と貸主はイーブンの関係ではありません。

 

例えば、入居者側からはいつでも賃貸契約の解除ができるのに対し、大家側が賃貸契約を解除するのには「それ相応の理由」が必要です。この「それ相応の理由」はそれなりにハードルが高く、大家側の自己都合で解除するというのは現実的ではないでしょう。

 

あるいは、もし家賃の滞納があったとしてもすぐに入居者を立ち退かせることができず、ある程度滞納期間が続かないと大家から対応ができないという通例もあります。そのため、一度家賃の滞納があると回収が難しく、結局は大家が泣きをみるという例も珍しくありません。

 

そうした意味で“大家に不利”とも言える「借家法」ですが、ここでの論点はその是非ではありません。

 

問題は、「サブリース業者にもこの借家法が適用されてしまう」という点です。

 

このことはつまり、サブリース業者は個人の入居者と同じように「借家法」により守られていることを意味しています。


強きを助け弱きを挫く法律?

よく考えてみればおかしな話です。

 

借家法が入居者を守るのは、彼らが大家より“経済的弱者”だからのはずです。

 

「個人でアパート経営をしている大家」と「企業としてサブリース業を営んでいる不動産会社」のどちらが“経済的弱者”でしょうか?

 

答えは火を見るより明らかです。

 

それでも借家法はサブリース業者を守ります。彼らがあくまでも「借主」であるからです。

 

これは借家法がサブリースという形態を想定していなかったために起こる法の歪みのようなものですが、貸主の大家としてはとても深刻な問題です。

 

先ほども述べた通り、大家側からは「それ相応の理由」がないと賃貸契約を解除できません。

 

所有している投資用の物件を売却するためにサブリースの解除を業者に申し出たとしても、同意が得られなければ解除できない可能性もあります。「売却のため」は、賃貸契約を解除するための「それ相応の理由」にあたらないからです。

 

その結果、サブリースの解除という買主側の条件を満たすことができず、大家としては「売りたくても売れないと」いう状況に陥ってしまうことになります。


自分の物件なのに家賃がわからない…

また、収益物件を高く売却するためには「実際の家賃収入」が重要となってきますが、サブリース契約の場合、入居者にいくらで貸しているかを大家が知ることができないケースも珍しくありません。

 

これもおかしな話ですが、大家である所有者が実際にいくらで部屋を貸しているかを知ることができないのです。

 

中には「個人情報だから」ともっともらしい理由をつけれ情報開示を拒否するサブリース業者もいます。それはそれでもっともらしい理由ですが、それであれば「大家への支払いは家賃の90%」というそもそもの約束事はどうなってしまうのでしょう。

 

実際にいくらで貸しているのかわからないようでは、「本当は10%以上の数料を取っているのでは?」と大家に疑念を持たれても仕方がありません。


サブリースは不動産投資の良さを殺す

これまでも私が再三主張してきていることですが、サブリースとは「不動産業者が儲けるためのシステム」であり、決して「大家が得をするシステム」ではありません。サブリースを行う業者も企業として利益を得ないといけない以上、それは当たり前のことです。

 

後でそれに気がついてサブリース契約を解除しようとしても、借家法を盾にそれができない可能性もあります。

 

一度契約してしまった以上、イニシアチブはサブリース業者側にある

 

この点こそが“サブリース契約の本当のコワさ”と言っても過言ではないでしょう。

 

サブリースとは業者に大家業を丸投げする代わりに、大家自身の“オーナーとしての自由”を一切奪われてしまう仕組みです。

 

他の運用方法と違い、大家が自分の考えで色々工夫することで、自らの力で利回りを向上できるのが不動産投資の良い点のはず。

 

安易な気持ちでサブリース契約をして、みすみすその長所を手放すような真似はくれぐれも避けるべきでしょう。


(2019/1/23 文責:佐野純一)

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