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“高利回り”に飛びついてはダメな理由 〜改めて考える「利回り」の意味〜

利回りは高いに越したことはない。でも…

これまで資産運用に縁のなかった人がいざ投資を始めようとした時、何を一番重要視するでしょうか?

 

「どれだけ元本が保証されるか」といういわゆる“安全性”を気にする人も多い一方で、「どれだけ儲かるか」という“収益性”に目をとらわれる人も少なくありません。

 

せっかく資産運用を始めるのであればこれは当然の考え方かもしれませんが、実は“収益性”だけに意識がいってしまうのは少し危険です

 

特にこれまで資産運用をしたことのない人は、「標準的な利回りの感覚」というものが養われていないことが多く、経験者であれば不自然と感じられるような“高い利回りの金融商品”に飛びついてしまいがちです。

 

もちろん、資産運用を行う上で利回りが高いに越したことはありません。

 

ただ、高利回りの金融商品は誰にとっても魅力的なはず。そう簡単に自分の手に入るはずもないというのは、ちょっと考えればすぐにわかるはずです。

 

よく言われるように、世の中の甘い話には“罠”があります。同じように高い利回りの金融商品には、“それ相応のワケ”があります

 

今回は「“お金の相談”の専門家」ファイナンシャルプランナー(FP)と一緒に、資産運用の重要な要素である「利回り」を改めて考えてみましょう。


「ハイイールド債」って知ってますか?

「利回り」の意味を考える上で、非常にわかりやすい金融商品があります。

 

あなたは「ハイイールド債」というものをご存知でしょうか?

 

「ハイイールド債」とは債券の一種で、簡単に言えば“比較的利回りの良い債券の総称”です。

 

投資家にとって債券とは、一般的に「リスクの少ない金融商品」として知られています。利回りは決して高くないものの、「借金の借用書」という性質上、償還時期がくれば決まった金額で現金化できることがその大きな要因でしょう。

 

例えば、日本という“国”が発行する10年国債は、2019年5月現在の金利が0.05%に過ぎませんが、10年経てば国が元金を払い戻してくれるというある種の保証があります。

 

そうした安心感のある債券に、利回りの高いものがあったらどうでしょうか。簡単に言えば、それが「ハイイールド債」です。

 

「それはお得だね。ぜひ買いたい!」と思った人は、ちょっとクールダウンが必要かもしれません。

 

この場合は、「それは何かがおかしい」と感じ取れる人の方が、安定的な資産運用に向いていると言えます。

 

当たり前の話ですが、世の中にうまい話はありません。

 

もし本当になんの裏もなく利回りの高い債券があるとしたら、どうなるでしょう。誰も利回りの低い国債などに見向きもせず、国債という金融商品はこの世から消えてなくなるに違いありません。

 

ハイイールド債には、利回りが高いだけの“ワケ”があるのです。


「高利回り」にはワケがある

繰り返しになりますが、債券とは「借金の借用書」です。

 

いくら安全性が高いと言っても、その安全性はお金を返してくれる相手が存在することが大前提となります。

 

相手が日本という“国”であればちょっとやそっとのことでなくなることはありませんが、民間の一企業が相手の場合はどうでしょうか。何らかの理由でその企業が倒産してしまったり、債務不履行の事態に陥る可能性もゼロではありません。

 

言い方を変えれば、債券には「お金を貸した相手がいなくなってしまうという危険性」があるということになります。これを「信用リスク」と呼びます。

 

「ハイイールド債」と呼ばれる債券を発行する会社は、実は比較的経営が安定していないケースがほとんどです。

 

他の条件が同じであれば、誰だってもしかしたら潰れてしまう会社にお金を貸そうとは思わないでしょう。相手が倒産してしまったら元も子もないわけですから。

 

そのままではそうした企業の債券は売れません。そこで発行する側は、自らの商品に何らかの付加価値をつけて競争力を高めようと考えます。

 

その付加価値が、安定的な債券にはない「高利回り」です。

 

こうして一般的な債券のイメージから外れた「ハイイールド債」という商品が誕生します。

 

つまり、ハイイールド債とは「高い利回りと引き換えに高い信用リスクを負う債券」と言い換えることができ、「ローリスク・ローリターン」の印象が強い債券の中で「ミドルリスク・ミドルリターン」の商品と捉えられるはずです。


「債券だから安心」という思い込みは危険!

驚くのが、ハイイールド債をただ「債券だから」という理由だけで、安全性が高いと思って購入する人が多いことです。

 

これは証券業界の“手数料商売主義”の典型的な弊害と言える点で、リスクに消極的な顧客に対し「債券は安心」というセールストークで商品が売りつけた結果に他なりません。

 

購入する側が「ハイイールド債」の性質を理解した上で買っているのであれば問題ありませんが、「安全性が高い上に利回りも高い債券」と考えているのであれば、それは悲劇以外のなにものでもありません

 

債券に限らず、他の金融商品でも同じような“ワケあり”高利回り商品は存在します

 

例えば、不動産投資の世界であれば、接道の関係で建直しができない「再建築不可物件」がそれにあたります。

 

表面的な利回りが目の引くものであっても、新しく建物を建てられない土地であれば、そこに大した価値はありません。

 

高利回りにつられてそうした物件を購入しても、結局は“安物買いの銭失い”ということになってしまいます。


「なぜ高利回りなのか?」を考える

高利回りの金融商品に飛びついてはいけないワケ。

 

それは、「そこに必ず“何らかの理由”が存在するから」です。

 

「利回りが高い商品」と聞くと興味が湧くのは当然だと思いますが、逆説的に考えるのであれば、それは「高利回りに設定しないと売れない商品」と捉えることができるはずです。

 

誤解のないように申し上げておくと、「高い利回りの金融商品の全てが悪い」と言っているわけではありません。

 

高利回りの商品がたとえ“ワケあり”だったとしても、そのワケが自分の許容できるものであれば問題はないはずです。

 

大切なのは、うまい話を目の前にした時にすぐに飛びつかず、その理由をじっくり考えてみる姿勢です。

 

そのステップを踏むことができるのであれば、あなたが大ハズレの金融商品を掴む可能性は格段に減るでしょう。


(2019/5/15 文責:佐野純一)

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