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住宅予算ってどうやって決めているの? 〜やっぱり気になる他人の財布〜

みんなどうやって住宅予算を決めているの?

「住宅予算ってどうやって決めればいいんですか?」

 

FPとしてご相談を受ける時に最も多い質問の一つです。

 

以前「FPは住宅予算をどう決めるか」という内容をご紹介しましたが、この話題になる時にやはり皆さんが気になるのが「他の人はどうやって予算を決めているんだろう?」という素朴な疑問です。

 

今回は一般的に多い住宅予算へのアプローチ方法と、それに対するFPとしての見解をお話ししたいと思います。


住宅予算の根拠は3つのパターンに分かれる

住宅購入のご相談の時、私は決まって尋ねることがあります。

 

「住宅予算ってどのくらいでお考えですか?」

 

「それが分からないから相談に来たんだよ」と怒られることもありますが(笑)、たいていの場合は「自分が考えている予算が適正かどうか」を確かめたいお客様ですので、なんとなくの自分が持っている予算のイメージとその根拠を話してくれます。

 

お伺いした根拠をまとめると、大きくは次の3タイプに分かれます。

 

@ローン返済額が今の家賃と同じぐらいだから
A会社の同僚が同じぐらい価格の家を買っているから
B欲しい物件はこのぐらいの金額だから

 

さて、この3つの理由。それぞれをFP的にアプローチしたらどうなるか? 詳しく見ていきましょう。

@「家賃と同じぐらいだから大丈夫!」

「住宅ローンを組んだ時の毎月の支払額が今の家賃と同じぐらいだから払っていけるだろう」という考え方です。

 

確かに現状生活をしている中で実際に払っている家賃を住宅ローンに置き換えるだけですから、支払いのイメージはつきやすいでしょう。

 

また、中古物件のチラシにもローンシミュレーションの返済額が載っていて「家賃と比べてください!」などという宣伝文句が踊っていますから、割と広く受け入れられている考え方でもあります。

 

しかし、この考え方には大きく2つの注意点があります。

 

まず一つは金利の問題です。

 

ご存知の通り、住宅ローンの組み方には変動金利と固定金利の2種類があります。この家賃並みの返済額が固定金利で組まれたものであれば大丈夫ですが、変動金利での数字だとすれば今後上がっていく可能性があります。

 

ましては2016年現在、日本は歴史的にも類をみない低金利時代になっています。変動金利の住宅ローンが今後も「家賃並みの返済額」が続く保証はどこにもありません

 

二つ目は、そもそも「今の家賃が適正額なのか?」という根本的な問題です。

 

よく賃貸情報サイトに「家賃は手取り額の1/3が目安」などという記事が載っていますが、これはFPとしては首を傾げたくなるところ。その人の年齢や家族構成、その他の支出状況によって家賃の適正額は大きく変わってしまうからです。

 

さらに言えば、今は払える家賃でも将来どうなるかは慎重な見極めが必要です。

 

今後お子様が生まれたりして支出が増えたり世帯収入が一時的に落ち込むこともあるでしょう。働いている間は良くても退職後も同じように家賃が払えるのかという心配もあります。

 

言うまでもなく、住宅ローンは最長35年間続く長期戦です。家賃のように途中で安い物件に引っ越したりすることはできません。

 

そう考えると、今の家賃を基準に住宅予算を決めてしまうのは、少し安易な方法と言えそうです。


A「同僚と同じぐらいだから大丈夫!」

「同じ会社の同僚が購入した住宅と同じぐらいの価格なら自分にも大丈夫だろう」という考え方です。

 

特にトラディショナルな日本の会社であれば、多少の差はあれ、同じ社員でそこまで給料の差がつくことはあまりありません。その意味では、会社内の同じようなポジションの人の購入した住宅価格を参考にすることはできるかもしれません。

 

ただ、この場合も大事な参考例の結末を見届けるまで待つことはできません。

 

参考になるような身近な存在であればここ数年の分しか情報がありませんし、逆にあまりに年齢差がある例では給与体系なども違うことが多く、そもそも参考にするのは難しいでしょう。

 

お手本にしたちょっと年齢が上の先輩がいたとして、その人のライフプランがどのような結末を迎えるかが分かる時には自分もそれなりの年齢になっているはずです。

 

もしその時点でお手本が間違っていることに気がついたとしても、できることはあまり多くはありません。悪いお手本と同じような運命を自分もたどるかと考えると、なんともゾッとしない話です。

 

根本的な考え方として、給与という収入だけを見て参考にするのは少々早計です。例え収入が同じ水準だとしても、これまた家族構成やその他の支出によってその家庭の適正な住宅予算は変わってしまいます。

 

また、恵まれたことに住宅購入に際しご両親から資金援助を受ける例も実際には多く見受けられます。こうした贈与の部分は外からは見えにくく、給与だけで判断してしまうと後で家計に大きな差が生まれてしまうことになります。


B「だって欲しいんだもん!」

「希望のエリアで希望の間取りを探していたらこのぐらいの金額だったから仕方がない」という考え方です。

 

ある意味では「予算の後付け」で、文章にするとまるで笑い話のように感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、こうした例は決して少なくありません。

 

そうなってしまう原因の一つは、不動産という商品の特殊性にあると言えるでしょう。

 

当たり前の話ですが、この世の中に二つとして同じものが存在しないのが不動産。どんなに似た物件でも必ず違いはあり、その部分は金額に反映されます。

 

そのため、住宅を探すには自らの目でその物件を確かめるしかなく、一度探し始めたら毎週末のように内見に出向かないといけません。時間も手間もかかる家探しは、自ずと「理想の物件」を求めてしまうことになりがちです。

 

加えて“人生で一番高い買い物”と言われる住宅は「せっかく高い買い物をするのだから後悔はしたくない」という心理を生み、さらに理想の物件へと邁進する結果になってしまうのです。

 

実際に私のところに「実は明日契約なんですが、予算が心配になって…」といらっしゃるお客様は、この端的な例と言えるでしょう。

 

理想の物件を探すことにいっぱいになってしまい、予算のことは後回し。なんとか物件を決めて一息ついたところで、じわりじわりと予算のことが心配になってくる…というパターンです。

 

さすがに契約日前日ともなるとライフプランを精査する時間がなく一般論で判断するしかなくなりますが、それでも私の経験上ライフプランに破綻をきたす可能性が高い予算というのは分かります。

 

そんな時にはその旨を正直にお話しするようにしますが、それは私にとってもつらい作業です。お客様に「破綻する可能性があっても購入するか」、あるいは「これまでの家探しの苦労を無にするか」の二択を迫ることになるのですから。


住宅購入は奇跡の巡り合わせ?

以前と繰り返しになりますが、住宅の適正予算は人それぞれ。FPとしてはライフプランで長期的かつ包括的に検討していただくことをおススメします。

 

そして、そのタイミングは早ければ早いほど良いということも心に留め置いていただければと思います。

 

「この世の中に二つとして同じものが存在しないのが不動産」と書きましたが、それは各個々人も各ご家庭も同じこと。その意味では、住宅購入とはそれぞれ一つしかないもの同士の奇跡的な巡り合わせと言えるかも知れません。

 

そうした奇跡が後で悔やむものとならないよう、初めから住宅予算はしっかりと考えておきたいものです。

(2016/12/07 文責:佐野純一)

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