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生命保険の必要性とは? 〜不動産投資をすれば保険はいらないってホント? 〜

不動産投資をすれば保険に入らなくていいってホント?

「生命保険の必要性を考えたら不動産投資にたどり着いた」という方もいます。

 

また、「生命保険に入らなくて良い方法を探していたら不動産投資に出会った」という方もいます。

 

確かに、「生命保険の代わりになります」とは投資用マンション営業の常套トーク。私のところにご相談にいらした方の中でもそう信じて疑っていない方もいらっしゃいました。

 

しかし、本当にそうでしょうか?

 

生命保険のことを何も知らない不動産営業マンの「生命保険はいらない」という言葉に、果たしてどれほどの信憑性があるのでしょうか?

 

今回は、不動産投資の専門家であり、生命保険の専門家でもあるファイナンシャルプランナーの立場から、この点についてお話ししたいと思います。

日本人は生命保険が大好き!

FPの仕事をしていると、非常に多くの生命保険のご相談を受けます。その時に私が大事にしていることが一つあります。

 

それは「保険に入る目的」です。

 

個別の保険商品を比較検討することも必要ですが、その前に保険に入る目的をしっかり見極めなくてはいけません。もし入る目的がなければ、それがどんな良い商品だったとしても、その人にとっては必要性のない「無駄な保険」なのですから。

 

不動産投資が生命保険の代わりになるかどうかの前に、そもそもその保険に入る必要があるかどうかを検討することが大事です。

 

実は日本人は保険が好きな民族と言われています。

 

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(平成25年度)」によると日本人の生命保険加入率は80%、実に5人中4人がなんらかの生命保険に入っていることになります。世界的に見てもこれほど保険の加入率が高い国は稀です。

 

しかしその一方で、自ら進んで保険に入りたいという方にはなかなかお目にかかりません。「入りたくないけれど仕方なく入っている」というのが皆さんの偽らざる気持ちではないでしょうか。


その保険、入る必要ありますか?

なぜ生命保険に入りたくないのか? やはり一番大きな理由は保険にかかるコストだと思います。

 

生命保険の役割は万が一の事態に備えること。

 

ただ、「万が一」はあくまでも「万が一」。それが現実となる可能性は決して高いとは言えません。

 

万が一が起こらなければ、結局保険料は無駄になってしまいます。無事に生活ができたわけですからそれ自体は喜ばしいことに間違いありませんが、そうは思っても保険料を損したと感じてしまうのは人情かもしれません。

 

そうした費用対効果の面も含めて、生命保険は本当に必要なのか、そして不動産投資は生命保険の代わりになるのか、次の3つのシチュエーションで考えてみましょう。

怪我や病気で入院した場合
働き手が亡くなった場合
けがや病気で働けなくなった場合

ケース@ 怪我や病気で入院した場合

保険のご相談を受けると「とりあえず医療保険は入っておこうと思って…」という方によく出会います。

 

そのくらい日本では認知度が高く、また加入率も高いのが入院に備えるいわゆる「医療保険」です。

 

果たしてこの医療保険は本当に必要でしょうか。

 

社会保障制度を活用しよう

その答は、「入院したらどのぐらいお金がかかるのか」を考えれば自ずと出てくるはずです。

 

実際の治療費を計算する時、社会保障制度抜きには考えられません。

 

日本は社会保障の充実している国です。社会保障制度の一つである健康保険(自営業の方は国民健康保険)により、医療費の自己負担が3割に抑えられていることはよく知られている通りです。

 

「3割でも治療が長引けば結構な負担になるよ」と思われた方、ごもっとも。

 

そんな時のために健康保険にはさらに「高額療養費制度」というシステムが用意されています。

 

これはある種のリミッター制度で、一般的な所得の方であれば毎月9万円程度を自己負担限度額とし、超過してしまった分は健康保険が負担してくれるというものです。

 

対象があくまで健康保険の範囲内に限定されている点には注意が必要ですが(例えば先進医療や差額ベッド代は対象外)、もし入院した場合でも月々の負担が9万円程度で済むのであれば、保険ではなく貯蓄でその費用をまかなうという選択は十分に可能ではないでしょうか。

 

入院日数は短くなってきている

加えて、入院日数が年々短くなってきているという事実もあります。

 

厚生労働省発表の「医療施設調査と病院報告」によると、2013年の平均入院日数は30.6日。同調査では2011年が32.0日、2012年が31.2日となっていますから、年々入院日数が短くなっているのが一目瞭然です。

 

これは医療技術の発達というポジティブな理由もありますが、一番大きな理由は社会保障費用への圧迫です。

 

既に述べた通り、入院費の7割は健康保険の負担です。財政が厳しい国としてはなんとか入院日数を短くしようと躍起になっており、この流れは加速こそすれ留まることはないでしょう。

 

その意味では、入院日数で「一日いくら」という医療保険は既に時代遅れと言ってもいいはずです。

 

毎月支払う保険料の元をとるためには何日間入院しなければならないかを考えると、医療保険の必要性には疑問を感じずにはいられません。

 

結論

医療保険は貯蓄で備えることが可能。保険の必要性は低い。


ケースA 働き手が亡くなった場合

医療保険に続いて「保険」と聞くとイメージしやすいのが、働き手がなくなった時の「死亡保障」でしょう。

 

確かに一家を支える働き手に万が一のことがあったら、家計へのダメージは計り知れません。共働きが多い現代ではご夫婦それぞれに死亡保障をつけているケースも見受けられます。

 

医療保険と違い、貯蓄でカバーするというのもその金額を考えるとあまり現実的ではありません。適切な金額の死亡保障はある程度必要でしょう。

 

必要保証額を考えよう

ただし、この「適切な」金額を決めるのは意外と難しいものです。実際に相談に来た方に尋ねても保険屋さんに勧められるままだったり、右にならえだったりするケースがほとんどです。

 

死亡保障によって得られる適切な金額のことを「必要補償額」と言いますが、実は必要補償額は各家庭によって異なるものです。

 

例えば、家族構成や子供の年齢によってこれからかかる金額は変わってくるでしょう。手元にある貯金額によってはどのくらい不足するかが変わってきます。逆に万が一の時に入ってくる遺族年金も、子供の有無が人数によって違ってきます。

 

また、その人の住宅が賃貸なのか、購入して住宅ローンを組んでいるのかによっても変わってきます。ご存知の通り、住宅ローンには団体信用生命保険(いわゆる「団信」)の加入が原則義務づけられていますので、住宅ローンを組んでいる人であれば住宅費を必要補償額の中に入れる必要がないからです。

 

不動産投資には団信という保険が含まれる

「不動産投資が生命保険の代わりになる」という話は、この団信の存在が元になっています。

 

住宅ローンで必須の団信は、不動産投資でのローン(通常「アパートローン」と呼ばれます)でも加入が一般的です。収益物件の所有者に万が一があった場合は団信がアパートローンを完済してくれるため、遺族には家賃収入がそのまま入ってくるという仕組みです。

 

個人的には、家賃収入というのは所有者に万が一があったとしても変わらず入ってくるものだと思いますので、団信加入を義務付けること自体に違和感を感じます。理屈としては、金融機関はその物件の家賃収入を信用しておらず、所有者の他の収入からアパートローンを返済していくと判断していることになります。

 

裏を返せば、アパートローンが組めたからと言って、金融機関がその収益物件の事業性を評価しているわけではないということです。

 

ともあれ、アパートローンに団信がついているということは、その点で死亡保障の代わりにすることはできると言えるでしょう。

 

ただし、団信で保障されるのはあくまでアパートローンの部分だけ。その後家賃が継続的に入ってくるのか、その不動産所得にどのくらい税金がかかってくるのかというのは全く別の問題です。

 

収益物件の事業性を充分に考慮して、その人の必要補償額をきちんとカバーできているのかどうかをしっかり検討する必要はありそうです。

 

結論

死亡保障は必要保障額の見極めが大事。不動産投資で必要補償額がカバーできるか確認しよう。


ケースB けがや病気で働けなくなった場合

医療保険は病気や怪我をした時の治療費や入院費、つまり「出て行くお金」に備える保険ですが、大きな怪我や病気をするとこれまで通りの収入を得られないことがあります。

 

そうなると住宅ローンや子供の教育資金などの予定していた支出に対応できず、ライフプラン上で大きな変更を強いられる結果になってしまいます。

 

これを保険の世界では「就業不能リスク」と呼びますが、このリスクに対する生命保険は必要でしょうか。

 

就業不能リスクには2種類ある

就業不能リスクは大きく二つに分けられます。

 

一つが治療期間を終えて職場に復帰するケース。もう一つが治療しても元に戻らず収入が大幅に落ちてしまう、或いは収入が途絶えてしまうケースです。

 

前者の場合、生命保険では三大疾病(がん・脳卒中・心筋梗塞)保険で大きな一時金を準備することで治療期間に備えることができます。

 

この保険は働けなくなった時の収入減を補うのが主な目的で、例えば自分の年収分を用意しておけば働けなくなった場合に受給できる傷病手当金(給与所得者のみ)とあわせてじっくりと治療に専念することができます。

 

貯蓄型の生命保険を使えば結果的にあまりコストを掛けずにこの保障を手に入れることができるので、一つの有効な形だと言えます。

 

復帰できない場合はどうする?

ただし、この方法では怪我での就業不能に備えることはできません。更に言えば、仕事に復帰すること前提で考えられていますので、介護状態が続くような後者のケースでは対応に限界があります。

 

実は、長期の就業不能や介護状態に対しては、「解決策」と言えるような商品が見当たらないのが生命保険の現状です(もちろんコストを掛ければ保障してくれる商品はあります)。

 

病気や怪我だけでなく、高齢による介護状態に対する保障は社会的ニーズも急速に高まっており、今後の新しい生命保険の形が望まれています。

 

団信は役に立たない

さて、それでは就業不能リスクに対して不動産投資は役に立つでしょうか。

 

答えは「Yes」でもあり「No」でもあります。

 

まず、死亡保障の時に効果を発揮した団信はこの場合役に立ちません。

 

就業不能になったからといってアパートローンが完済となるわけではないからです。収益物件としてうまく回っていればともかく、万が一家賃収入以外でローンを返していた場合には、働けなくなった上にアパートローンの負担がのしかかることになります。

 

就業不能リスクを不動産投資でカバーするためには、家賃収入でアパートローンを返すだけでなく、生活費もそこからまかなえなくてはなりません。

 

一口に不動産投資と言っても、そのやり方によってそれができるかどうかは異なります。

 

家賃収入を主にアパートローン返済に充て、長い時間をかけて資産を形成するやり方(資産形成コース)では生活費を捻出するには限界があります。それどころか、下手に家賃収入を生活費に充てることによって、将来的にその物件の収益が回らなくなる可能性も考えられます。

 

一方、十分な自己資産を持った上で賃貸経営を行う方法(資産運用コース)では話がまったく変わってきます。アパートローン返済をしても生活費を出せるほどのキャッシュフローがあれば、就業不能リスクを恐れることはありません

 

同じ不動産投資でも「資産形成コース」では就業不能リスクは防げませんが、「資産運用コース」ではカバーすることは可能です。

 

ですから、答えは「Yes」でもあり「No」でもあるのです。

 

資産運用コースへ早めに移行しよう!

「自分には資産がないから資産運用コースは無理だ」と言ってあきらめる必要はありません。資産形成コースから始めても、努力することで資産運用コースに移行することは可能です。

 

大事なのは、なるべく早いタイミングで資産運用コースに移ること。そうすれば全ての保険の必要性から解放されます

 

考えてみてください。

 

きちんとした家賃収入があれば、例え働き手に万が一のことがあったとしても、遺族が困ることはありません。大病を患ってしばらく働けなくなったとしても生活費に困ることはありません。

 

そして、生命保険でも保障が難しい介護状態が続くようなケースでも、家賃という収入は途絶えることなく入ってくるのです。

 

その意味では、不動産投資の「資産運用コース」こそ最強の保険と言っても過言ではないかもしれません。

 

結論

生命保険では就業不能リスクに対し限定的にしか備えられない。
不動産投資で「資産運用コース」まで到達したら全ての生命保険は必要なくなる。


生命保険も不動産投資も「目的」が大事

FPとしてお客様のご相談に応じる時、「なぜそうしようと思ったか」という話を時間をかけて伺うことがよくあります。

 

具体的な方法論に入る前にその方の目的をきちんと聞いておかないと、話が枝葉末節な部分に入ってしまい本筋を見失ってしまう恐れがあるからです。

 

生命保険へ加入するのも、不動産投資の世界に身を投じるのも同じことです。

 

生命保険への加入や不動産投資を行うことが「目的」になってしまってはいけません。それはあくまでも目的実現のための手段に過ぎないのです。

 

迷ったら「自分がなにをしたいのか」に立ち返って考えてみることが何よりも大事です。


(2016/01/13 文責:佐野純一)

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