失敗例@ 「新築マンションで高家賃・高稼働…のはずが」
“不動産投資の失敗例”と言えば、真っ先に連想されるのが「新築ワンルームマンション投資」です。
初めて不動産投資をする方が購入するケースが特に多いようですが、残念ながら成功したという話はほとんど聞いたことがありません。失敗する人が多いということは、裏を返せば「新築ワンルームマンション投資」には学ぶべき点が多いということでもあります。
実際のところ、この投資方法は「不動産投資失敗例の宝庫」と言えるほど、“やってはいけないこと”のエッセンスが詰まっていると言っても過言ではありません。
そのいくつかある「失敗のエッセンス」のうち、今回は“新築”というキーワードに焦点を当てたいと思います。
なぜ「“新築”ワンルームマンション投資」は失敗しやすいのでしょうか?
「新築」の賞味期限は短い
投資用マンションデベロッパーのパンフレットを見ると、そこには新築マンションに対する魅力的な言葉が踊っています。
「“新築”だから家賃を相場より高く設定できる!」
「“新築”だから退去してもすぐ次の入居者が決まる!」
確かに、その文言自体は必ずしも間違いとは言えません。“新築”という言葉には入居者を惹きつける一種の魅力があるのは事実でしょう。
しかしながら、どんな建物であれ、その建物が「新築」であるのはほんの一瞬です。時が経てばあっという間に「新築」の冠は外れ、その他の中古マンションと同化していきます。
新築マンションの家賃が相場より高く設定できるのと同様に、新築マンションの売却価格も中古マンションより高く設定されています。“新築”という言葉が持つそうした一瞬のきらめきを手に入れるためだけにしては、投資家が払う代償はあまりにも大きいと言えるでしょう。
金額の高さが最大のネック
「新築ワンルームマンション」の最大の弱点は、ズバリその「購入金額の高さ」です。
これはなにも収益物件に限ったお話ではありませんが、「新築マンションは買った瞬間に値が2割下がる」と言われています。
なぜだかお分かりでしょうか? それは価格の中に「物件以外のもの」が含まれているからです。
新築マンションを売るためには、当然営業の人たちの力が必要となります。彼らの人件費はどこから出ているのでしょうか。
また、商品を広く知らしめるための広告費も必要となります。物件によってはモデルルームを作ったり、内覧会を催したリするケースもあります。それら費用はどこから出てくるのでしょうか。
ある意味当たり前の話ですが、それらの費用は全て物件の販売価格に含まれています。デベロッパーが善意で負担するわけではありません。
そのことはつまり、新築を買った人がその費用を負担することで瞬時に償却され、次に売り出される時は“物件本体のみ”の価格となることを意味してます。
それが、新築マンションが買われた瞬間に値が下がる仕組みです。
「ミドルリターン」では穴埋めが難しい
不動投資の基本は、「ローリスク・ミドルリターン」。運用方法として安定しているというメリットがある一方で、収益性がそれほど高いわけではありません。
この不動産投資のミドルリターンでは、こうした「物件以外の費用」を賄うのは並大抵のことではないでしょう。
仮に10年後に売りに出したとして、売却価格は新築時よりも当然下がっているでしょうから、この時のキャピタルロス(売却損)をそれまでの10年間の家賃でペイできるのであれば非常に幸運と言えます。ほとんどのケースで、それまで得た家賃収入以上のキャピタルロス(売却損)が出てしまうはずです。それでは何のためにこの不動産投資を10年間行ったのか分かりません。
「新築ワンルームマンション投資」をビジネスとする会社のパンフレットには、その商品を売るための美辞麗句が並んでいます。
ただ、もう一度考えてみてください。
彼らの本当の目的が何かを。彼らが何を主な収入源としているかを。
そうすれば、彼らがあなたと共通の目的で動いているわけではないことが、きっとお分かりになるはずです。
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