「異なる間取り」がトラブルを呼ぶ?

「ワンルームや1Kにするか? それともファミリータイプにするか?」

 

新たなアパート建設を考える時、とても重要な要素となってくるのが「部屋の間取り」です。

 

一般的には「ワンルームや1Kの方が貸す時の坪単価が高くなる」と言われていますが、その一方で「ファミリータイプは競合が少ないため安定した賃貸経営が見込める」という意見も耳にします。

 

どのような間取りでそのアパートの商品としての価値を上げていくかは、オーナーにとっても難しい判断でしょう。

 

また、間取りはその土地の容積率にも大きく関係してきます。

 

容積率とはその土地に対して「どのくらいの延べ床面積の建物が建つか」を決める数字ですが、特にファミリータイプの間取りの場合は、うまく容積率を消化できないこともあります。

 

例えば、230uの延べ床面積が使えるのに50uのファミリータイプの間取りだと4戸しか作れず、残りの30uが無駄になるようなケースですが、このような状態ではせっかくの土地のポテンシャルを活かしきっているとは言えません

 

そんな時に、建設会社や設計士から、異なった間取りが混在する建築プランが提示されることがあります。先ほどの例で言えば、4戸のファミリータイプをベースに、20u弱のワンルームを2戸併設するような考え方です。

 

こうしたプランは、一見容積率を消化した優秀なものに思えますが、ちょっと待ってください、実際に賃貸経営をしている大家の視点から見るととこうした考え方はあまりオススメできません。後々、住民同士で思わぬトラブルが起こる可能性があるからです。

 

今回は、自ら賃貸経営を行う「“お金の相談”の専門家」ファイナンシャルプランナー(FP)が、こうした異なる間取りが混在する収益物件の問題点を解説します。


ワンルームに住む人のライフスタイルとは?

なぜ、異なる間取りが混在するアパートでは住民同士でトラブルになる可能性が高くなるのでしょうか。

 

もちろん、間取りそのものになにか問題があるわけではありません。肝心なのは、「一つの建物の中にライフスタイルの違う人たちが住む」という点です。

 

例えば、“アパートの王道”ともいうべきワンルームや1Kの間取り。この部屋に住むのはどんな人たちが多いのでしょうか。やはり単身者がその大多数を占めると考えられます。

 

単身者のライフスタイルにはある程度の共通点があります。

 

平日の昼間は会社に行っている人がほとんどでしょうし、帰りは少し遅い時間になることが予想されます。自炊して家で夕飯を食べる人の割合もそれほど高くないかもしれません。

 

また、就寝時間も遅くなる傾向にあり、真夜中過ぎまで起きている人も珍しくありません。その時間帯に隣の部屋で少しぐらいの物音がしたとしても、自分が起きているのであれば大きな問題にはなりにくいと考えることができます

 

ところが、ファミリータイプの入居者ではライフスタイルがまったく変わってきます

 

小さなお子さんがいる家庭も多いでしょう。生まれたばかりの赤ちゃんがいる家庭もあるはずです。そうした家庭では子供を寝かしつける作業は親にとっての大仕事。せっかく寝かしつけた子供が真夜中の隣室の音で起きてしまったりしたら、そのストレスは決して軽いものではないはずです。


ファミリータイプならではの生活音もある

一方で、ファミリー層にはファミリー層のならではの生活音があります

 

端的な例で言えば、赤ちゃんの夜泣き。火がついたように泣き出す赤ちゃんは、親とは言えどそう簡単に静止することはできません。

 

これが、自分も赤ちゃんがいる環境であったり、あるいはかつて同じ経験したことのある人であれば「お互い様」という気持ちが働くことがあります。その人たちにとっても決して心地良いものではないでしょうが、かと言って絶対に我慢できないものでもないでしょう。

 

しかし、単身者にとってそれは「未知の領域」です。赤ちゃんに罪がないと頭では分かっていても、なかなか感情的に割り切れない人もいるでしょう。

 

公共の交通機関における子供の騒音問題がメディアにも度々取り上げられますが、それについての反応はその人に育児経験があるかどうかで分かれることも少なくありません。

 

実際に「昔は子供の泣き声が我慢できなかったけど、自分に子供が生まれてからあまり気にならなくなった」という意見はいろいろなところで耳にします。

 

赤ちゃんの泣き声は一つの例にしかすぎませんが、「一つの建物に異なる間取りが混在する」ということは、「一つ屋根の下に生活サイクルの違う人たちが住む」、もっと言えば「違う価値観を持つ人たちが同じ建物で生活する」ということでもあります。

 

お互いの生活サイクルが違えば、そこに住人同士の相互理解が生まれづらくなります。その結果、住民同士のトラブルが起こりやすい土壌ができてしまうのです。


騒音問題をなくすことはできない。でも…

賃貸の管理を行っている会社に聞くと、アパートなどの共同住宅で起こるトラブルとして圧倒的に数が多いのは騒音問題だと口を揃えます。

 

特に木造などの遮音性の低い建物ではその傾向が顕著で、「大家業は常に騒音トラブルと隣り合わせ」と言っても過言ではないでしょう。

 

残念ながら、共同住宅で騒音問題を完全になくすことはできません。

 

これは賃貸物件に限ったことではなく、どんなに贅を尽くした高級分譲マンションでも同じことでしょう。現在の建築技術では、お互いの生活音を消し去るような共同住宅はコスト的に商品として成り立たないからです。

 

ただし、騒音トラブルをなくすことはできなくても、その要因を減らすことはできるはずです。

 

同じアパートに違う間取りを混在させない工夫も、実はその一つ。

 

たとえ容積率を限界まで消化して図面上は優秀なプランに見えたとしても、実際に賃貸経営を始めたら騒音トラブルで空室だらけになるようでは意味がありません。建設会社や設計士にとっての“正解”が、必ずしも大家にとっての“正解”ではないということです。

 

賃貸経営は、入居者という「人」が相手の商売です。

 

大事な商品である「部屋」を考える時に、そこで住む人の立場になって検討していくことが大切です。そうでなければ、長期間に渡って安定した家賃収入を得ることはやはり難しいでしょう。


(2018/11/28 文責:佐野純一)

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