“投資”と“投機”は似て非なるもの

「資産運用」についてご相談はファイナンシャルプランナー(FP)にとって切っても切り離せないものですが、「“お金の相談”の専門家」という性質からか、ファイナンシャルプランナー(FP)に資産運用のご相談をいただく方はこれまであまり投資経験のない場合が多いのが特徴です。

 

そんな方には具体的な方法論の前にまずは「資産運用とはなにか」というお話をすることが多いのですが、たまに相談に来た方の口からこんなセリフが飛び出して、ビックリさせられることがあります。

 

「このお金はなくなっても大丈夫だから、運用に回そうと思っています」

 

……ちょっと待ってください。

 

確かに昔から「投資は余剰資金で行うもの」と言われますが、この余剰資金とは決して「なくなっていいお金」という意味ではありません。

 

こんなセリフを口にすること自体が、その人が資産運用を大きく勘違いしている証しと言えます。その状態まま投資を始めても、良い結果を得ることはまず不可能でしょう。

 

それでは、投資経験のあまりない方がどんな資産運用の始め方をすればいいのか。今回は「“お金の相談”の専門家」ファイナンシャルプランナー(FP)が、モノを売らないコンサルタントとしての視点で“正しい資産運用の始め方”を解説します。


「余剰資金」≠「なくなってもいいお金」

先ほども触れたように「投資は余剰資金で行うもの」は運用の世界の鉄則です。使用用途が決まっているお金、いわゆる「生活資金」を投資に回すのはやはりルール違反と言えるでしょう。必要になった時にそのお金が手元にないようではトラブルは避けられないからです。

 

しかしながら、だからと言ってこの余剰資金を「なくなってもいいお金」と定義づけるのは少し極端です

 

おそらくは「投資→リスク→なくなるかも?」という連想だと思いますが、これは運用における“リスク”という言葉の意味を知らない人の発想と言わざるを得ません。

 

運用の世界において、“リスク”とは決して「危険」という意味ではなく、あくまでも「結果のブレ幅」を指す言葉だからです。

 

それさえ分かっていれば、「リスクが高い」とは「大きく儲かるかもしれないが、大きく損をする可能性もある」という意味であり、反対に「リスクが低い」は「ほとんど儲からないが、損をする可能性も低い」という意味であることを理解するのは難しくありません。

 

ですから、数ある運用方法の中から「リスクの低い」ものを選べば、投資する余剰資金は「なくなっていいお金」にはならないのは明らかです。

 

例えば、私の専門である不動産投資は、運用の世界では比較的ローリスクの範疇に入ると言われています。不動産の場合は、購入した物件の価格が下がることはあっても、いきなり半値になったり、ましてやゼロになることは現実的にあり得ないからです。

 

このように、運用方法の中には「0」か「100」かの一発勝負ではない選択肢がたくさん存在しています


流行り物には手を出すな!

それなのに、なぜ一般的に「投資=ギャンブル」のイメージが強いのでしょうか。

 

理由はいくつかあると思いますが、その大きなものの一つに「消費者の耳に届く情報量」の問題があると思います。

 

現代社会は様々な情報で溢れかえっていますが、そんな中でも特に「流行り物」の情報はマスコミ等を通じて多く世間に伝えられています。そうした「流行り物」の情報を通して、投資の一般的なイメージは形成されていく部分が大きいのでしょう。

 

今流行りの金融商品と言えば、そう、良くも悪くも注目を集めているのがビットコインを始めとする「仮想通貨」です。「仮想通貨」がどんなものかをよく知らなくても、あなたもその名前を耳にしたことはあると思います。

 

ただ、「流行り物の金融商品」というのは一定のサイクルで繰り返し世の中に登場するもので、現在ではそれが仮想通貨ですが、歴史を振り返ってみればバブル期の不動産もそうですし、IT産業が出始めた頃の新規上場株もそう言えるでしょう。

 

いつの時代も「流行りの金融商品」とそれに群がる人たちの姿は目にすることができるわけですから、投資経験のない人がこうした「話題の金融商品」に目が行ってしまい、それらが「投資の代表選手」のように認識されてしまうのは、ある意味仕方がないことかもしれません。

 

しかしながら、「“お金の相談”の専門家」ファイナンシャルプランナー(FP)としてこれだけはハッキリ申し上げます。

 

もしあなたがこれから投資を始めようと思っているのであれば、絶対に「流行り物」に手を出してはいけません

 

なぜなら、その金融商品が流行った時には、既に“手遅れ”だからです。


流行った時には機を逸している

運用の世界で大きな利益を得ようとするのであれば、キャピタルゲイン(売却益)を狙っていく必要があります。つまり、「安い時に買って、高くなった時に売る」という投資の基本を忠実に行わなくてはいけないのです。

 

どんなものであれ、その金融商品が流行り物となった時、それが「安くて買い時」である可能性はどのくらいあるでしょうか?

 

少し考えれば誰にでも分かるはずです。「流行っている」という状態である以上、需要が供給を上回っているわけですがから、その状態で「安くて買い時」のわけがありません。流行りに乗って誰も彼もが手を出し始めた結果、その商品は「高くなって売り時」にシフトしていくのです。

 

逆に言えば、安いうちに仕入れておいた人たちはその時を手ぐすね引いて待っています。何も知らず「みんなやっているから」と手を出したカモたちがその金融商品の値を釣り上げ、先行した彼らに莫大なキャピタルゲインをもたらしてくれるのをじっと待っているのです。

 

彼らは、なぜその金融商品が流行る前に安く仕入れることができたのでしょうか。

 

それはポジティブに考えれば日頃から研究を重ねている結果とも言えるでしょうし、もっとシニカルに捉えるのであれば、注目されるのは成功例だけでその裏には数かぎりない失敗例があると言うこともできるでしょう。

 

いずれにしろ、これまで投資をしたことがない人たちが容易に勝てる相手ではありません。


“守るための資産運用”とは?

歴史を紐解くまでもなく、流行り物の金融商品はあっという間に知名度が上がり、瞬く間にその熱は冷めていきます。

 

そして、その後に残るのはハッキリと「勝者」と「敗者」に分かれた厳しい現実です。

 

こうした例を繰り返し見ていると、「投資=ギャンブル」というイメージが強くなってしまうのも、もしかしたら当然のことかもしれません。

 

しかし、資産運用は「投資」であり、決して「投機(=ギャンブル)」ではありません。私のところにいらっしゃるご相談者の方にもお話しすることですが、儲けるためではなく“守るための資産運用”だってあるはずです。

 

よく現預金は「安全資産」と言われますが、それが真の意味での“安全”でないことは少し運用を学んだ者であれば明らかです。現預金は「インフレと円安に対し相対的な価値が下がる」という弱点を持っているからです。

 

例えば、世の流れがインフレに傾いた時、株式や投資信託などの証券を持っていればインフレの流れに追従して、その価値を上げてくれます。また、預金の一部を外貨にすることで円安に備えることもできるでしょう。

 

このように資産を分散することで、どんな状況でも「損をしない体制」を作ることができる

 

それが“守るための資産運用”なのです。


高リスクの運用は「宝くじ」と同じ!

資産運用をギャンブル感覚で成功させるのは、端的に言ってしまえば宝くじに当選するのと同じことです。

 

宝くじを買う場合は、誰だってその購入代金が無駄になるのを覚悟するもの。流行り物だからと言って自分がよく知らない金融商品を買うのは、それと同じぐらい、いやそれ以上にそのお金を無駄にする覚悟が必要でしょう。

 

私はファイナンシャルプランナー(FP)として、ライフプランの中になにかしらの運用要素を組み込むべきだと考えています。

 

もちろん、投資に対する心的負担は人それぞれですから、全ての人がそうしたほうが良いとは限りません。ただ、資産運用の本質を理解さえすれば、必要以上に敬遠することなく、投資を“自分の味方”にできる方法は必ず見つかるはずです。

 

あなたも闇雲に「投資はコワい」と避けて通るのではなく、ぜひ「自分にあった資産運用スタイル」を探してみてはいかがでしょうか。


(2018/02/14 文責:佐野純一)

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