「ファイナンシャルプランナー(FP)」と聞いて、あなたはどんな人を想像するでしょうか?
「保険屋さん」? 「証券マン」? それとも「お金持ち相手に資産運用の相談をする人」でしょうか?
残念ながら、これらは全て間違いです。ある意味では、FPは「世間で最も誤解されている職業」かもしれません。
その結果、世の中にはFPに対して“怪しい”とか“胡散臭い”というイメージを持っている人も少なくありません。
FPを生業にしている者としてはなんとも嘆かわしい事態ですが、ただ、この状況の原因の一端は、FP側が正しく自分たちの役割を発信できていないことにあります。
それではFPとは“どんな仕事”をする人なのでしょうか。
“どんな人たち”を相手にし、“どんなもの”をその商品としているのでしょうか。
今日はぜひあなたにFPの「本当の商品」を知っていただきたいと思います。
まずご理解いただきたいのが、「FPの仕事をしている人」と、「FP資格を持っている人」とは全くの別物だということです。
FP資格は近年非常に人気のある資格の一つ。初心者向けの3級も含めれば、有資格者はかなりの数にのぼります。
しかしながら、FP資格を持っている人が全てFPの仕事をしているとは限りません。
教員免許を持っている人の全てが教師ではないように、あるいは、調理師免許を持っている人が全員コックの職についているわけではないのと同じことです。
その人が「何の仕事」をしているかは、その人の「収入源」で決まります。
つまり、いくらFP資格を持っていようと、その人が生命保険の手数料で生活しているのであれば「FP資格を持った保険屋さん」でしかありません。同様に、証券会社の社員であれば「FP資格を持った証券マン」以外の何者でもないはずです。
世の中にはFP資格を持った教師もいるでしょうし、コックさんだっているはずです。その人達がFPでないのと同様に、保険屋さんも証券マンもFPではないのです。
「FPはお金持ち相手の商売」というのも、よくある誤解です。
私自身もFPであることを名乗ると「じゃあ、お金が貯まったら相談しに行きますね」と言われることは少なくありません。
確かにアメリカではそうした資産運用を専門にしている人も多いようですが、FPの本質は決してその点にあるわけではありません。
FPは「“お金儲け”の専門家」ではなく、「“お金の相談”の専門家」だからです。
現代社会にを生き抜く上で「お金の悩み」はつきものです。
資産の大小や収入の多寡に関わらず、誰もがお金に関する不安や疑問を持っているはず。
「“お金の相談”の専門家」であるFPは、そうした全ての人のお役に立てる職業なのです。
改めて「FPの仕事」を考えてみましょう。
言い換えればこれは、FPが売る商品は何か」ということでもあります。
結論から言えば、FPの商品とは「あなたのお金の悩みに対する解決策」です。
決して、生命保険でもなければ証券でもありません。「解決策」そのものがFPが提供する本当の商品なのです。
あなたが不安に思っていることや疑問に感じていること。
お金に関する豊富な知識と経験値で、それらに対する答えを導き出すお手伝いをする。
それがFPの仕事の本質と言えるでしょう。
ですから、FPは相談業務を行い、その対価を頂戴することで初めて仕事として成立します。
これだけ声高に「無料相談」が宣伝されている時代ですから、相談業務に対して費用が発生することに抵抗を感じる人がいても無理はありません。
しかし、仕事である以上どこかで「適正な利益」を出さなくてはいけないわけで、それを生命保険や証券の販売手数料で賄うのであれば、その人はすでにFPとは言えないでしょう。単なる「FP資格を持った金融商品の販売員」でしかないはずです。
商品として「解決策」を提供するFPは、その人に雇ってもらってこそ、その真価を発揮します。
商品の販売手数料に判断を左右されない、純粋な「アナタの味方」であるべきだからです。
また、この世に「完璧な解決策」など存在しません。どんな方法にも、必ずメリットとデメリットがあるものです。
大切なのは「あなたにとってどの解決策が良いのか」ということ。
手数料を稼ぐために自分が取り扱う金融商品を勧める販売員に、その判断ができるはずはありません。
いくつもある選択肢の中からどの解決策を選ぶかを決めるのはあなたです。
FPの本当の商品とは、「あなたがその決定をできるだけの判断材料を提供すること」。
あなたの立場に寄り添ってあなたの助言者に徹する姿勢こそが、FPの本来の姿のはずです。
豊かな人生を送るために本当に必要なものは、「お金儲けの手段」でもなければ「損得勘定」でもありません。
あなたの価値観に合ったお金の使い方を知ること。それこそがFPが提供できる「本当の商品」なのです。