お金に困らない人生をおくるためには…

「お金に困らない人生を送りたい!」

 

世の中のほとんどの人はそう思っているのではないでしょうか。

 

もちろん、全てのことがお金で解決するわけではありません。それでも、日々のやりくりに頭を悩ませずに済むぐらいのお金は持っていたいと思うのは当たり前のことでしょう。

 

ところが、実際の生活ではなかなかそうならない人も多いはず。お金の心配をしながらの暮らしでは、日々のストレスも溜まっていくばかりです。

 

そこで今回のコラムでは、「“お金の相談”の専門家」であるファイナンシャルプランナー(FP)が、“お金に困らない人生を送るための秘訣”をお教えします。

 

実は、たった2つのルールを守るだけで金欠状態は回避できるのです。


ルール@ 「生涯収入>生涯支出」

お金に困らない人生を送るためのルールその1、それは「生涯収入が生涯支出を上回ること」です。

 

こう聞くと「そんなの当たり前でしょ」と怒る人もいるかもしれません。いえ、むしろその方が健全な反応と言えるでしょう。

 

しかしながら、「生涯収入>生涯支出」は金欠回避のための絶対的なルール。これは「身の丈にあった生活をする」と換言することもできるはずです。

 

誤解のないように申し上げますが、ここでの「収入」とは何も労働に対する対価ばかりを指すものではありません。

 

例えば、働き方次第で老後に受け取る年金(老齢年金)の金額も変わってきますし、地道に時間を有効活用しながら投資を行えば、手元のお金が増えることも期待できます。あるいは、幸運な人であれば相続でまとまった資産を受け継ぐこともあるかもしれません。

 

お金に困らない人生を送りたければ、支出からではなくまず収入から考えるのが大前提。有り体に言ってしまえば、「使いたければその分のお金を生み出せ」ということになります。


支出には優先順位をつけよう

難しいのが、未来の収入が必ずしも計画通りに行くとは限らない点です。資産運用の結果はもちろん、勤め先の業績が芳しくなければ給与が予想を下回る可能性もあります。

 

見込んでいた収入が得られないのであれば、今度は想定していた支出をコントロールしなければなりません。そうした事態に備えるためには、予め自分の支出に優先順位をつけておくことが重要です。少なくとも、生活に不可欠なものとそうでないものは日頃からきちんと分けておくべきでしょう。

 

注意したいのが、これも誤解の多い点ですが、この「生活に不可欠な支出」はその人自身の判断基準で決めるべきものということ。

 

電気や水道などのライフラインは別としても、明日を生きる活力を何に求めるかは人それぞれで、美味しいものを食べることが大事な人もいれば、住宅環境に重きを置く人もいるでしょう。美容やファッション、趣味にお金をかけることが生きる糧になっているケースもあるはずです。

 

万人にとっての正解などありませんから、他人と合わせることに意味はありません。無理をして他の人を真似してもストレスが溜まるだけで、その状態を長く保つことが難しくなるだけです。

 

ただし、あれもこれもと手を出して「今の支出に不可欠じゃないものなんてないよ」と言う人がいるならば、残念ながらそれはただの欲張りというものです。

 

「贅沢とは何か?」の答えは人によって違うかもしれませんが、「生涯収入>生涯支出」とならないのであれば、どんなお金の使い方であれ、それはその人にとって贅沢というもの。収入の中で生活していれば、お金に困ることなどあるはずもないのです。


ルールA「必要な時に手元にある」

お金に困らない人生を送るために「生涯収入>生涯支出」は絶対条件ですが、実はそれだけを守ってもうまくはいきません。ルールその2は「必要な時にその分のお金が手元にあること」。これは、お金を使うタイミングの問題と言ってもいいでしょう。

 

長い人生の中で「支出」とは必ずしも一定のものではありません。例えば、独身時代は自分で稼いだお金を自分のためだけに使っていたのが、結婚して子供が生まれるとその様相は一変します。その顕著な例がいわゆる「教育費」で、短期間で大きなお金が必要となる代表的な存在です。

 

いくら生涯収入が生涯支出を上回ったとしても、必要なタイミングで必要な分のお金が用意できないのであれば、お金に困らない人生を送ることはできません。

 

実際に老後資金を意識するあまり、住宅ローンを無理矢理短くしたり、過度な貯蓄型保険で資産の流動性を損なうようなケースも見受けられますが、仮に潤沢な老後資金を得られたとしても、そこに行き着くまでの過程でやりくりに窮するようでは意味がないでしょう。これは、お金に敏感な人ほど陥りやすい「お得の罠」のようなものです。


大きな支出に備えるには?

それでは、「必要な時にその分のお金が手元にある」ためにはどうすれば良いのか。その対策は大きく2通りに分かれます。

 

一つ目は、その時期と金額を予測して早い段階から準備しておく方法。教育資金を例にとるならが、学資保険の類はそのための具体的な方法となります。

 

対策の二つ目は、適切な借り入れを行うことです。借金と聞くと無条件に嫌悪感を持つ人も少なくありませんが、お金を借りることは必ずしも悪ではありません

 

借り入れとは後の収入を前倒しする唯一の手段であり、有効活用することで初めて実現できることもあります。例えば、世の中に住宅ローンという仕組みがなければ大多数の人が住宅を購入すること自体ができなくなってしまうのは想像に難くないはずです。

 

うまく準備できるのであればそれに越したことはありませんが、時には借金をすることも「必要な時に必要なだけのお金が手元にある」というルールを実行するために有効な手段となるのです。


金欠を回避する2つのルール

改めてお金に困らない人生を送るためのルールをおさらいしてみましょう。この2つのルールさえ守ることができれば、あなたは一生金欠という状態から解放されるはずです。

ルール@ 「生涯収入が生涯支出を上回ること」
ルールA 「必要な時にその分のお金が使えること」

ただ、頭では理解できてもこのルールを実行するというのは意外と難しいかもしれません。今後「自分にどのくらいの収入が見込めるのか」「どんなタイミングでどのくらいのお金が出ていくのか」を予測することはそれほど簡単ではないからです。

 

「“お金の相談”の専門家」であるFPとしては、ライフプランがその助けになると考えています。ライフプランとは言わば「未来の家計簿」。これからの収入と支出を丹念にシミュレーションし、人生におけるお金の流れを可視化します。

 

ライフプランを作成することで、自分がこの2つのルールを守れるかどうかが判断できるでしょう。仮に現状の考え方でうまくいかないようであれば、どこをどう修正すれば良いかの判断材料をライフプランは示してくれるはずです。

 

気を付けなければならないのは、ライフプランは一般論で考えても意味がないということ。得られる生涯収入は人によって違うものですし、なにより支出の優先順位はその人の価値観によって異なるはずだからです。

 

その意味で、あなたの想いが反映された「あなた専用のライフプラン」こそ、あなたがお金に困らない人生を送るための道標になるのかもしれません。


(2024/4/17 文責:佐野純一)

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