芸能人が続々と不動産投資に参入するワケ

不動産投資に興味を持っている方であれば、いろんな芸能人が賃貸経営をしていることをご存知でしょう。

 

投資本を出しているキャイ〜ンの天野ひろゆきや、不動産投資セミナーなどにも登場するTIMのレッド吉田などはよく知られているところですが、古くは笑点の座布団運びで有名な山田隆夫が、「どうして座布団運びだけで生活できるのか?」というある種失礼極まりない質問(笑)に対して、「賃貸経営をしているから」とインタビューの中で答えています。

 

彼らはなぜ芸能界での仕事をしながら、不動産投資を始めたのでしょうか?

 

もしかすると、「芸能人は賃貸経営と相性が良い」という何か特別な理由でもあるのでしょうか?

 

これから不動産投資を始めてみようと思っている人にも興味がある話題だと思います。

 

今回のコラムでは、自ら賃貸経営を行う「“お金の相談”の専門家」ファイナンシャルプランナー(FP)が芸能人が続々と不動産投資に参入するワケを考察します。


成功例にみる「芸能人の不動産投資」の特色

冒頭で名前を挙げたように不動産投資を行なっている芸能人は多くいますが、その中でも特徴的なのがお笑い芸人のコウメ太夫です。彼は豊島区の椎名町にアパートを持っていて、各種メディアでも度々そのことについて語っています。

 

コウメ太夫と言えば、自他共に認める「一発屋」のお笑い芸人。インパクトのある見た目で一世を風靡したものの、最近ではすっかりテレビで見かける機会が少なくなりました。

 

面白いのは、売れていた当時から彼が自分自身のことを「一発屋」として認識していたことです。

 

自らの芸風を冷静に分析し、「いつまでも売れっ子の状態が続くはずがない」と初めから考えていたそうです。そのため、これまで稼いだお金をうまく活用しなくては、いずれ食うに困る状況になると思ったことが、彼が不動産投資に興味を持ったきっかけです。

 

インタビューによると、彼は2009年に椎名町にある5,000万円の物件を購入したということですが、ここで注目したいのはその「購入方法」です。

 

アパートローンの“レバレッジ効果”が大いに持ち上げられる不動産投資の世界において、彼は物件価格の6割にあたる3,000万円の自己資金を出して椎名町のアパートを購入したと述べています。

 

彼自身が「不動産投資のことはよく知らなかった」と言っていますから、そもそも“レバレッジ効果”自体を知らなかったのかもしれません。しかしながら、結果的にはこの選択は彼にとって正解だったと言えるでしょう。


不動産投資には2つのコースがある!

あまり知られていないことですが、不動産投資には大きく2つのコースがあります

 

一つが、もともと持っている不動産を「お金に生み出す仕組み」に変える“資産運用コース”

 

そのままでは何の収益性もない土地に、アパートを建てて家賃収入を得るようなケースがその代表格です。

 

もう一つが、レバレッジ効果をつかって行う“資産形成コース”

 

「家賃収入」という“他人のお金”で、「アパートローン」という“他人のお金”を返済していくことで、「不動産」という“自分の資産”を手に入れるパターンです。

 

世の中のサラリーマン大家と呼ばれる人たちは、ほとんどが後者で不動産投資をスタートします。コウメ太夫の場合も、彼はもともと土地を持っていたわけではないので、不動産投資の常識で言えば“資産形成コース”で始めるのが普通だったのかもしれません。

 

ところが彼は、始めから3,000万円という自己資金を投入することによって、自分の不動産投資を一気に“資産運用コース”まで引き上げました。このことが、彼の賃貸経営を自分が望む形に近づけた原因であることは間違いないでしょう。

 

「一発屋」のお笑い芸人である彼には、すぐ先の未来のこともわかりません。今年は大丈夫でも、来年には仕事がないかもしれないのです。

 

このことはつまり、彼にはのんびりと腰をすえて資産を“形成”しているだけの時間的余裕がなかったということを意味しています。

 

芸能界での仕事が減っても賃貸経営が収入を助けてくれるような仕組みにするためには、始めから“資産運用コース”で賃貸経営をする必要があったはずです。


もし“資産形成コース”で始めていたら?

もしコウメ大夫が“資産形成コース”で不動産投資を始めていたら、きっと「悲劇的な結果」になっていたに違いありません。

 

彼自身の読み通り、お笑い芸人としての旬はあっという間に終わってしまいました。仮にフルローンで融資を受けていたら、月々の返済後に手元に残るわずかばかりの家賃収入を生活費として食いつぶすことになっていたと思います。

 

その結果、「右肩下がりの商売」である賃貸経営はいずれは行き詰まり、同時に彼自身の生活も立ち行かなくなっていたでしょう。

 

このことからも分かるように、そもそも本業の方で生活できるほどのお金が入ってこないのであれば、不動産投資の“資産形成コース”は成り立ちません

 

彼が「3,000万円」という、言ってみれば「土地に相当する自己資金」を投入したことで、もともと土地を持っている人たちと同じフィールドで賃貸経営ができたこと。これがなにより大きいコウメ太夫の“成功のポイント”だと考えられます。


浮き沈みが激しい商売は他にもある

「芸能界」というと非常に特殊な世界のような印象を受けますが、“浮き沈みが激しい”という意味では他にも該当する業種はたくさんあります。

 

特に「一時的に爆発的な高収入が期待できるが、長く続けることはできない」という共通点を持った仕事は少なからずあるでしょう。

 

例えば、プロスポーツ選手には体力的な問題がつきものです。どんなスポーツであれ、一生涯現役でいることはできません

 

よくテレビ番組などで昔のスター選手が今の生活に苦しんでいる姿が取り上げられますが、そんな人たちも高収入だった現役時代に“資産運用コース”で不動産投資を始めていれば、きっとその後の人生は変わったはずです。

 

また、当たりはずれが大きい作家やマンガ家などの著作業の人も同じことが言えるかもしれません。あるいは、私が昔いた映像業界のスタッフのような特殊な技術職の人も該当するでしょう。

 

今、子ども達に大人気の職業であるYoutuberだって、きっとその仲間と言えるはずです(笑)。


「今は大丈夫だけど…」と感じているのなら

私の経験上、そうした職業で現時点で高収入を得ている人ほど実は「このままで大丈夫かな」という不安を抱えていらっしゃることが多いと思います。

 

そんな方にとっては、「不動産投資」は一つの解決策になり得るかもしれません。

 

今現在土地などの不動産を持っていなくても、手元の資金を投入することによっていきなり“資産運用コース”から賃貸経営を始めることができるからです。

 

これは一般的なサラリーマンには到底真似できない方法であり、うまく行えば人生において大きなアドバンテージとなります。

 

もちろん、すべての人にとって「不動産投資」が答えになるわけではありません。ご年齢や家族構成によっても考え方は変わってきますし、その人の経済的な状況でも選択肢は異なってきます。

 

まずは、自分にとって「不動産投資」が本当の意味での解決策となるのか

 

そして、解決策になるのであれば、どんなアプローチ方法が良いのか

 

もしあなたが同じような心配を抱えているのであれば、これを機にぜひ一度考えてみてはいかがでしょうか。


(2018/04/11 文責:佐野純一)

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